遠藤和也日本国大使は2月25日から26日にかけて、南・北イロコス州に出張し、両州知事を表敬訪問した。マシュー・マルコス・マノトック北イロコス州知事との間では令和6年度草の根・人間の安全保障無料資金協力案件「北イロコス州ラオアグ市近郊災害用救命ボート整備計画」に署名した。28日に日本大使館がプレスリリースを発表して明らかにした。
遠藤大使は25日、マシュー・マノトック州知事宅を訪問して懇談を行い、25年4月13日より開催される大阪・関西万博を紹介しながら、日比友好70周年であたる26年に向けて日比間の人的交流が一層盛んになるよう北イロコス州との連携を強化したい意向を示した。
マノトック州知事からは、遠藤大使のイロコス地域への訪問を歓迎するとともに、最近発生した山火事や台風への減災対策などにおける日比間の協力に期待を寄せるともに、23年に日本がマリアーノ・マルコス大学との間で実施した黒ニンニクのバリューチェーン構築に向けたビジネス化実証事業に対し感謝の意が述べられた。
また、遠藤大使は北イロコス州庁舎においてマノトック州知事との間で草の根・人間の安全保障無償資金協力案件「北イロコス州ラオアグ市近郊災害用救助ボート整備計画」の贈与契約書に署名した。同計画の供与金額は6万711米ドル。同州に災害救助ボート2台を整備することで、大雨や台風による水害発生時の救助体制の強化を図る。
遠藤大使はまた、ジェリー・シンソン南イロコス州知事を表敬訪問し、南イロコス州における観光やインフラ分野を中心とした日比協力を促進していきたい旨を伝えた。シンソン知事からは、遠藤大使の南イロコス州訪問を歓迎すると同時に、歴史地区であるビカン市に日本人観光客がより一層訪問することに期待を寄せるとともに、日本のODAを通じた日比協力が同州でも実現できるよう密接な連携を期待する旨が伝えられた。
▽ビガン市歴史地区を訪問
また、遠藤大使は25日にビガン市の歴史地区を訪問したほか、キリノ大統領(第6代大統領)の生家である国立博物館を訪問した。
さらに大使は26日、北イロコス州庁舎を訪問し、セシリア・アラネタ・マルコス北イロコス州副知事と懇談を実施した。マルコス副知事からは、遠藤大使の北イロコス州訪問を歓迎するとともに、令和5年度草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「農作物運搬用冷蔵車の供与案件」に関し、主要産業が農業である同州にとり農産物を運搬し農家の販路拡大と収益力向上に寄与したとして、日本政府の協力に感謝の意を伝えた。 (澤田公伸)