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年内に防衛協定締結へ 独国防相初来比で

2024/8/6 政治
マルコス大統領を表敬訪問したドイツのピストリウス国防相(左)と握手するマルコス大統領(中央)。右はテオドロ国防相=5日、大統領宮殿(代表撮影)

ドイツ国防相が初めてフィリピンを訪問。防衛協力協定を今年中に締結することで一致した

 ドイツのピストリウス国防相は3~5日にかけフィリピンを訪問し、テオドロ国防相、マルコス大統領らと相次いで会談した。ドイツ国防相の比訪問は初。4日には比独国防相名の共同声明を発表し、包括的な防衛協力協定を締結することで一致したと発表した。さらに、2カ国間での防衛装備増強協力と「共同プロジェクト」についても可能性を追求する意思を表明した。記者会見で両相は、防衛協定を年内に締結する見通しだと語った。

 1月にはドイツのベアボック外相が来比し、南シナ海問題について中国の行動を非難した上で緊張緩和への協力を宣言。さらに3月にマルコス大統領がドイツを訪問した際は、シュルツ首相が南シナ海での緊張の高まりを念頭に海洋安全保障協力を約束している。訪問軍地位協定(VFA)の交渉や検討を始めたフランス、カナダ、ニュージーランドと並び、ドイツも比への安全保障協力を加速させている。

 会見でテオドロ氏は、新協定の内容を「能力、訓練、情報交換に関する相互協力を重視したものとなる」と説明。さらに「海上の境界線を防衛するための装備品の分野での協力を模索する」とした。

 会談で両相は、インド太平洋地域における航行・上空飛行の自由確保に結束して取り組むことで一致。国連海洋法条約(UNCLOS)の完全な実施を推進することで合意したほか、中国の主張を退けた2016年南シナ海仲裁裁判所判断が「最終的で法的拘束力を有する」ことを改めて確認した。

 ウクライナ紛争については、国連憲章の原則に沿った公正で持続的な和平に至る必要性を強調し、外交努力の継続を呼びかけた。

 共同声明では両国が1974年に比国軍職員のドイツ国内での訓練を含む政府間防衛協定を締結していることに触れ、「ドイツは比の最も古い防衛協力国のひとつ」と指摘した上で、両相が比独防衛関係の再活性化に「揺るぎないコミットメントを表明した」とした。

 ▽国際法堅持で連帯を

 ピストリウス氏は5日にマルコス大統領を訪問。会談で大統領は南シナ海問題などでの欧州諸国と比の連帯の必要性を強調。ウクライナ紛争を念頭に、「貴国の場合は、東欧問題が国際法を代表する強固な連帯にかかっているように、国際法に従っているものは明確に受け入れ、そうでないものには抵抗するようにしなくてはいけない」と指摘。北大西洋条約機構(NATO)と東南アジア諸国連合(ASEAN)が一体となって地域の領土紛争に対処すべきとの考えを示した。

 さらに、カナダやフランスが海軍艦を派遣し南シナ海での海上共同活動や合同演習に参加したことを例示し、ドイツの共同訓練・活動への参加への期待を示した。

 ピストリウス氏は「プレゼンスこそ重要であり、中国またはその他の国々にわれわれが連帯していることを示す鍵だ」とし、インド太平洋地域へのドイツ軍のプレゼンス向上に意欲を示した。(竹下友章)

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