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「もし本当なら国家反逆」 「紳士協定」で上院が調査要求

2024/4/4 政治
リサ・ホンティベロス上院議員=公式フェイスブックより

リサ・ホンティベロス上院議員が比中間の南シナ海問題に関する「紳士協定」の存在について、上院調査を求める決議案提出

 ドゥテルテ政権期に大統領報道官を務めたロケ弁護士が南シナ海での補給任務を水・食料だけに制限する内容の中国との「紳士協定」があったと発表したことを受け、リサ・ホンティベロス上院議員(野党・自由党)は3日、「紳士協定」の存在について上院での調査を求める決議案を提出したと発表した。

 同議員は声明で、「この『紳士協定』は反逆的だ。中国がアユギン礁(英名セカンドトーマス礁)に向かう比船を攻撃する可能性が高まるなか、このごまかしの合意は、領有権を主張する中国に攻撃材料を与えるだけだ」と指摘。「もし本当だとしたら、ドゥテルテ氏は領土を割譲したのと同じ行為をしたことになる。エドゥアルド・サントス元海軍総司令官の言葉を借りるなら『反逆行為』だ」とし、さらに「中国は既に通信業、発送電業、そして海洋でわれわれを取り囲んでいる。ドゥテルテ氏は中国を力を強めただけだ」と前大統領を批判した。

 その上で、アユギン礁に海軍詰め所として座礁させてある揚陸艦BRPシエラマドレについて、「同艦を強化するのはわれわれの義務だ。アユギン礁に同艦がなければ、事実上アユギン礁を中国に譲り渡すことになる。もし同艦の修繕をやめれば、比は重大な戦略的前哨基地を失うだけでなく、主権を守ることもできなくなる」と警告した。

 アユギン礁にBRPシエラマドレを座礁させるアイデアの発案者とされるエドゥアルド・サントス元海軍総司令官(退役中将、現アジア太平洋海事大学長)は1日に、インタビューで「同艦がアユギン礁に存在することこそが、このエリアでの比の主権主張となる。同艦を座礁させたのは25年前だが、なおその中で生活することは可能だ。しかし、崩壊させないためには、メンテナンスが必要だ」と述べている。

 ▽「中国のわな」

 テオドロ国防相も2日に声明を発表。「『紳士協定』の有無に関する説明責任の重要性は承知しているが、比国民は、わが国の権益に対する主要な脅威は、西フィリピン海(南シナ海)での中国政府による不法行為だということから目を逸らされてはいけない」と訴えた。さらに、「『紳士協定』に目を向けさせようとするのは、中国のプロパガンダ(政治宣伝)。このわなに掛からないようにしてほしい。このわなに陥ると、彼らの違法行為の容認につながりかねない」と注意を呼びかけた。

 中国外務省の汪文斌報道官は1日の会見で、比に対して「約束を守り、両国の理解と合意に基づき行動することを希望している。比は中国の権益への侵害と挑発をやめて、域外の国を南シナ海問題に引き込もうとするのを自制する必要がある」と要求。「南シナ海の平和と安定のために、交渉と協議を通じ状況を管理するという正しい道に戻る必要がある」と強調した。(竹下友章)

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