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歪曲した見解 止まらない記者殺害

2014/9/22 政治

 アキノ大統領は、ジャーナリスト殺害を阻止できない現政権の対応不足を正当化した。これでは、これまでに犠牲になった記者たちが浮かばれない。

 欧州4カ国を歴訪した大統領は、比の人権侵害の現状について尋ねられ、イラク、シリアに次いで記者殺害事件が多発する現状を例にこう答えた。

 「彼らは真実を究明したがために殺されたのか。あるいはジャーナリズムの倫理に従い、責任ある方法で職務を全うしたのか?」

 これこそがまさに大統領のゆがんだ考え方である。

 人が殺される。その意味をよく理解すべきだ。記者が殺害された理由が仕事絡みか否かにかかわらず、殺人が凶悪犯罪であることに変わりはない。

 仮に、ジャーナリズムの倫理に反したとしても、記者の殺害が正当化されて然るべきではない。この国は法治国家のはずである。 

 記者によって傷つけられた被害者には救済を求める選択肢がある。その一つが名誉毀損(きそん)法だ。殺害という報復手段が選択肢に含まれてはならない。現行の共和国法は「適切な法の手続きなく、いかなる人も生命や自由を奪われてはならない」と定めている。これまで殺害された記者たちは「いかなる人」に含まれる。

 たとえば、アロヨ前政権下で農務省職員の汚職を暴いた女性記者は2005年3月、子供たちの目の前で殺害された。政府の不正を暴き、このように「消された」記者たちは枚挙にいとまがない。 

 比ジャーナリスト連盟は、アキノ大統領発言を受けて声明を発表した。

 「大統領は正義を無視した。現政権下で殺害され、この現状を放置し続ける大統領は、記者たちが流した血から永久に身を清めることができないだろう」(19日・マラヤ、エレン・トルデシリアス氏)

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