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新聞論調

2009/10/12 政治

農業予算の裏側

 2010年政府予算案が国会で近く審議される。各省庁とも台風オンドイ(16号)による被害の深刻さを訴え、より多くの配分を獲得しようと躍起になるだろう。自然災害は確かに、すべての分野に膨大な損害をもたらす。

 この恩恵を最も受けるのはヤップ農務長官。同省予算案472億ペソの増額が認められなければ、穀物不足への懸念を強調するはずだ。

 同長官は先に、海外からの輸入を支えに今年の残り3カ月分のコメを確保したと言明した。しかし、台風オンドイが与える影響は来年まで続くだろう。

 農業への被害総額は60億ペソに上り、うち55億ペソが台風オンドイによる。内訳はコメ18万5千トン、トウモロコシ1万トン、野菜3千トンなど。

 同長官は「農作物への直接的な損害が問題ではない。重要なのは、来期を乗り切る財政確保だ」と主張、緊急基金設置による農民救済の必要性を強調した。アロヨ大統領が就任した01年以降、農務省への予算配分は毎年かなり増額されてきた。大統領は当初、任期中にコメの自給自足を実現させると公約した。しかしこの公約は果たされることがなかった。現在、必要量のコメの約10%を海外からの輸入で賄っており、過去9年間この状況は変わっていない。

 自給自足実現に向けて配分された何百億ペソという予算はどこへ消えてしまったのか。コメの生産増が実現しなかった原因は、農務省の無能さだけで片付けられる問題ではない。

 来年5月に次期統一選が迫る中、ヤップ農務長官が予算増額を要求した場合、別の思惑があると疑われても仕方がない。哀れな農民たち。彼らの名を借りてこれまでどれだけの不正が行われてきたことか。(7日・マラヤ)

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