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国家原理主義の出現

2002/9/9 政治

馬政府の排斥政策

 マレーシア・サバ州のフィリピン人違法滞在者に対するマレーシア政府の取り締まりは、「国家原理主義の出現」と呼べるかもしれない。追放された者たちは、同じマレー族のイスラム教徒だ。フィリピン人だけでなくインドネシア人も含まれ、マハティール首相が進めてきた「ブミプトラ」(土着のマレー人優遇)政策の恩恵を受けるべき者たちだ。なぜ彼らを排除するのか?

 マレーシア政府は今年四月に新入管法を制定、八月から厳格運用したと説明した。これまでは違法滞在者の数をチェックするために手入れを行う程度で、野放しにしてきた。違法滞在者といってもマレーシアで数十年暮らしてきたのだ。収容所で病気で亡くなった子どもたちはマレーシアで生まれている。

 この難民たちは自らをマレーシア人、フィリピン人、インドネシア人などと国籍別には考えていないかもしれない。彼らの祖先はもともとタウスグ族やサマル族で、かつてはミンダナオ南部やボルネオ島などを自由に往来していた。各地で共同体を形成し、他の民族と混血してきた。他の共同体メンバーと話す際、この地域の共通言語であるマレー語を使った。国境の線引きは植民国家による押しつけに過ぎない。  

 今日の非合法移民者らは国家主義者にとって脅威なのかもしれない。彼らはイスラム教により結束している。マレーシア政府が恐れているのは、イスラム教徒たちが国境を越えた武装政治組織を形成し、その中核が国内に確立されることである。

 これは昨年九月十一日のテロ事件以降、米国に続き、世界各地で発生している「異国民恐怖症」と根を同じくする現象かもしれない。(1日・インクワイアラー、ランディー・ダビッド氏)

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