
96年「PSYENCE A GO GO」再現で幕開け

hide生誕60周年およびソロアルバム3作品のリマスター音源を収めたメモリアルボックスセット「REPSYCLE~hide 60th Anniversary Special Box~」の発売記念を兼ねて行われた本公演。大雨に見舞われた初日とは打って変わって、2日目は快晴に恵まれた。1996年発表の2ndアルバム「PSYENCE」のオープニングを飾るタイトルナンバーが流れ、Spread Beaverのメンバーたちが一斉に登場。“助っ人怪人”のPATA(G /


ライブはインダストリアルナンバー「POSE」で幕開け。KIYOSHI(G)はhide愛用ギター・MG-Xにエイリアンのような禍々しいパーツを取り付けた「ベルゼブブ」を低く構える往年のスタイルでフロアを煽り、K.A.Z(G)とPATAはクールな佇まいでヘビーなリフを重ねる。ステージにいるhide with Spread Beaverはメンバーが並んでいるだけで現実離れしたかのような迫力を放ち、観客は高まる興奮を抑えられない。スクリーンは中央に1つ、左右に2つ、計3つが設置され、hideの歌唱映像とステージにいるSpread Beaverの演奏する姿がシームレスに映し出される。またhideがレーザー光線を放つと、場内にも同じ動きでレーザーが飛び、過去と現実がリンク。こうした演出の妙も相まって、オーディエンスはスクリーンの中だけでなく、ステージにもhideの存在を感じたはずだ。


「hideが帰ってきたぜ! hideと遊ぼうぜ!」とKIYOSHIが話し、hideにMCをバトンタッチ。hideは「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆ならなんとやら。どうかやっちゃってくださいな! どうかこの松本の趣味の悪い髪型と髪色に免じて、やっちゃってくださいな!」と観客を煽り、「BEAUTY & STUPID」へ。hideのギターソロ中、KIYOSHIがステージに置かれたイエローハートと向かい合った。


D.I.E.のジャジーな即興演奏から「Cafe Le Psyence」へ。hideは架空の店「Cafe Le Psyence」の店長として語り、「ピアノ、野澤大二郎(D.I.E.)!」「リズムはJOE!」と紹介。さらに「Cafe Le Psyenceナンバーワンシンガー・CHIROLYN。この東京砂漠で歌いますのは、『東京ディズニー千葉にある』よろしく!」とCHIROLYN(B)にバトンタッチする。CHIROLYNは「いらっしゃい、今日はありがとう。行くわよ、千駄ヶ谷」と話してから、「東京ディズニーランド なぜ千葉にあるの? 外人から見たらめっちゃ嘘つきやんけ 東京ディズニーランド なぜ千葉にあるの? 教えて」とソウルフルに歌った。hideとメンバーの掛け合いが楽しい時間の次には、hideの優しさがにじむミディアムチューン「FLAME」が演奏された。ここまでの流れは、1996年10月20日に東京・国立代々木競技場第一体育館で行われた全国ツアー「PSYENCE A GO GO」ファイナルの前半のセットリストを再現したもの。そして8曲目「PINK SPIDER」から新展開を見せ、1998年発表の3rdアルバム「Ja,Zoo」以降の楽曲などを盛り込んだライブへと突入した。
まさかの「Junk Story」初演奏にファン歓喜


「EYES LOVE YOU」は、D.I.E.(Key)とhideによる“DEATH HOLLYWOOD ver”のセッションから本編の演奏へと移行。K.A.Zがイントロの印象的なリフを響かせ、ギターソロではKIYOSHIが両手でギターの指板を叩くボスハンド奏法を見せ、メンバーそれぞれのプレイが光った。そして彼らはhideの未発表曲として2002年にリリースされた楽曲「Junk Story」をライブで初演奏。オーディエンスは喜びと感動が混じった様子で声を上げ、合唱を楽しんだ。



「FISH SCRATCH FEVER」ではD.I.E.が大暴れし、客席に飛び込むほどのヤンチャぶりに笑いが絶えない。KIYOSHIは「俺たち、“hideっていう病気”じゃん。俺たち、hide大好きじゃん」「hideのことを忘れたくないから、感染していこうぜ、一生“病気”でいようぜ」とhideへの愛を表現しつつ、観客とともに「hide!」と繰り返し叫ぶ。そんな中、バンドは「ever free」を届け、1部を終えた。
「hideさんは永遠です」

hideからの紹介を受けて、木村世治(ZEPPET STORE)が登場し、hideもお気に入りだったZEPPET STOREの楽曲「FLAKE」を歌唱した。続くhide「GOOD-BYE」のカバーでは、途中からhideの歌声が重なり、デュエットに展開。木村はステージに置かれたhideのギターと向かい合いながらギターを奏で、hideとのステージでの再会を噛み締める。「永遠なんてないと思っていたけどhideさんは永遠です。みんなの幸せと世界の平和を、空の上から見守っていてください。疲れない程度に(笑)。hideさん愛しています」と笑顔を見せた。
We are hide with Spread Beaver!
「PSYCHOMMUNITY」をBGMにSpread Beaverがステージに戻り、まず「DICE」を演奏。圧巻のパフォーマンスに場内の熱気がぐんぐんと高まる。「hide!」と名前を叫ぶファンの声をかき消すかのように激しく歪んだギターの音色が響き、怒りのインダストリアルナンバー「DOUBT」が投下された。1部の後半で爆笑していたのが信じられないほどの攻撃的なステージが繰り広げられた。

KIYOSHIが「助っ人怪人というか“車椅子怪人”石塚智昭! PATA!」と紹介。PATAは黒のレスポールカスタムを抱え、「じゃあ行ってまいります」とだけ話し、「CELEBRATION」の演奏に参加した。その後、イエローハートに持ち替えたPATAは、「松本さん、すみませんけど、今日もお借りします」と述べてから、名曲「TELL ME」をスプレビのメンバーとともにファンに届けた。


PATAが去ったあと、CHIROLYNが「もっと欲しい? でっかいロケット打ち上げようぜ!」と叫び、ラストナンバー「ROCKET DIVE」へ。ボルテージは最高潮に達し、hideの歌声とスプレビの演奏、そして観客の合唱が合わさり、感動的なフィナーレを迎えた。CHIROLYNは「We are hide with Spread Beaver!」と声を挙げ、KIYOSHIは「またhideに会いたくなったら、俺たちSpread Beaverを呼んでくれよ!」と呼びかけた。こうして奇跡の2日間が終了。エンドロールのアニメーションではhideが宇宙船に乗り、再び宇宙の旅へと戻っていった。
なお6月29日18:00からWOWOWライブ、WOWOWオンデマンドで5月3日公演の模様が独占放送・配信されることが決定している。WOWOWではこのほかhideのミュージックビデオ、ドキュメンタリー、映画の放送・配信が行われるので、詳細は番組のWebサイトで確認を。また本公演のライブ写真、舞台裏、メンバーインタビューなどを収めたフォトブック「REPSYCLE BOOK(仮)」が完全限定生産で発売されることも決まっている。
さらにhideの誕生日にあたる今年12月13日に神奈川・CLUB CITTA'でライブパーティ「hide Birthday Party 2025」が実施されることも発表となった。hide with Spread BeaverのメンバーがDJ、ソロ、バンドなどそれぞれの活動スタイルで登場するほか、defspiral、PATA、木村世治らも出演する。
セットリスト
hide with Spread Beaver「hide Memorial Day 2025 hide with Spread Beaver "REPSYCLE" ~Life is still going on!!~」2025年5月3日 東京体育館
1部
SE. PSYENCE
01. POSE
02. BACTERIA
03. DAMAGE
04. BEAUTY & STUPID
05. 限界破裂
06. Cafe Le Psyence
07. FLAME
08. PINK SPIDER
09. EYES LOVE YOU(DEATH HOLLYWOOD ver)~EYES LOVE YOU
10. MISERY
11. Junk Story
12. FISH SCRATCH FEVER
13. ever free
2部
・木村世治「FLAKE」
・木村世治 feat. hide「GOOD-BYE」
3部
SE. PSYCHOMMUNITY
14. DICE
15. DOUBT
16. CELEBRATION
17. TELL ME
18. ROCKET DIVE
SE. HURRY GO ROUND
公演情報
hide Birthday Party 2025
2025年12月13日(土)神奈川県 CLUB CITTA'
<出演者>
hide / Chirolyn / defspiral / DIE / DJ-INA / JOE / PATA / 木村世治 / 桃知みなみ(Opening DJ) / and more
提供元:音楽ナタリー