「スター・ウォーズ」を、9つのアニメーションスタジオがクリエイター独自の視点と発想で新たに描くシリーズ「スター・ウォーズ:ビジョンズ」Volume3が、10月29日よりディズニープラスで独占配信される。さらにVolume1で人気を集めたProduction I.G制作の「九人目のジェダイ」が、「ビジョンズ」初の長編シリーズ化。シリーズ初のオリジナルアニメーションシリーズ「Star Wars Visions Presents -The Ninth Jedi」として2026年の配信が決定した。

続編の物語が明らかに
これらの情報は、イベント「スタ ー・ウォーズ セレブレーション ジャパン 2025」内にて、4月20日に開催された「スター・ウォーズ:ビジョンズ」のパネルで発表された。パネルには、シリーズの製作総指揮であるジェームズ・ウォーが登壇した。ジェームズは「みなさん、おはようございます!」と日本語で挨拶。そして「このシリーズは、独自のカルチャーであるアニメーションの世界から『スター・ウォーズ』を見たらどうなるんだろうと思ったところから始まりました」とシリーズ企画の経緯を語る。そしてジェームズの「Volume3ではこれまで特に人気を集めた物語の続編も製作しています!」という言葉とともに、3つのファーストルックがスクリーンに映し出された。

Volume1から引き続き参加する神風動画からは、水野貴信監督が出演。水野監督は神風動画+ANIMAとして、CGスタジオのANIMAと共同制作で「The Duel」の続編「The Duel Payback」を制作する。同作ではジェダイの新キャラクター“グランドマスター”が登場。多くのシスを倒し続けたローニンの前に立ちはだかる、最大の敵となる。水野監督は「この最大の敵を倒すためにシスと手を組みます。グランドマスターは人間というか機械というか...そんな感じのキャラクターで、ローニンに対してなんらかの因縁を持っているキャラクターです」と明かす。ほかにも「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(エピソード9)」や「マンダロリアン」シリーズに登場したアンゼラ人のキャラクター、「スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)」のカンティーナにいた宇宙人に影響を受けて作ったキャラクター、さらに賭場付きの温泉宿をモチーフにした建物が合体した和風AT-ATのような巨大戦闘車両などの新ビジュアルもファンに向けて初公開した。

同じくVolume1から引き続き参加するキネマシトラス。垪和等監督は、Volume3で「村の花嫁」の続編「彷徨う者たち」を制作する。Volume1では惑星キーリアで行われる奇妙な結婚式の花嫁・ハルに、自らの境遇を重ねた逃亡者・エフの物語が描かれた。続編は、元ジェダイの主人公・エフが戦争に巻き込まれた子供たちと関わっていく物語。ステージに上がった垪和監督は、続編について「エフがあの後どこに行くのか。そして戦争で大変な目に遭った人たちはどこに向かうのか。戦争で家族や大切な人を失った者たちは一体どうやって生きていくのか?というお話になっています。“エフが子供たちと関わりながら未来を見つめる”というのがメインテーマになっています」と言及する。新たに登場するキャラクターについては、「まだ秘密です!」とコメントを控えた。
Production I.Gが手がける「九人目のジェダイ」の続編「The Ninth Jedi: Child of Hope」は、主人公カーラがシスに捕まってしまった父を探す冒険の物語。パネルには
新作の情報も続々発表

今回から新たに参加するアニメスタジオの監督も続々登場。キネマシトラスからは「ユコの宝物」を手がける
TRIGGERはVolume1で「The Elder」の監督を務めた大塚雅彦が、新作「The Smuggler」を制作する。舞台は新しく登場する惑星で、主人公・Chitaは密輸業者。ステージに登壇した大塚監督は「密輸業者といえば、ハン・ソロだよねという話になりました。惑星は新しいですが、いろいろな国の要素を取り入れて『スター・ウォーズ』の世界に溶け込むデザインにしようと思いました。前回はシリアスな物語だったので、今回はならず者が登場する活劇みたいな感じになっています」とコメントする。
WIT STUDIOからは「The Bounty Hunters」の監督を務める山元隼一が登場した。同作は賞金稼ぎのセブンと、ドロイドのIV-A4(イヴァフォー)のコンビが織りなすアクション満載の作品。2人が怪しげな実業家に雇われるところから、不思議な冒険物語が始まる。山元監督は「IV-A4は面白い変形をしてさまざまな形体を見せてくれますし、相棒のセブンとの関係もぜひ楽しんでいただきたいです」とメッセージを送った。
プロジェクトスタジオQからは「四枚羽の詩(よんまいばねのうた)」監督の小林浩康監督がステージに上がる。同作の主人公はプリンセスで、秘密を持つドロイドも登場。また同作の楽曲はテイ・トウワが作曲を務める。小林監督は「四枚羽といえば『スター・ウォーズ』ではXウイングですが、今回はそれをモチーフにしました。AT-ATなど、『スター・ウ ォーズ』のエッセンスとして大きなメカを入れ込んでいます。メカが得意なスタジオなのでメカがたくさん出てきます」とプロジェクトスタジオQならではの仕上がりに自信を見せた。

「極楽鳥の花(ごくらくちょうのはな)」を制作するポリゴン・ピクチュアズからは、吉平直弘監督が登壇。同作は若きジェダイであるパダワンが登場する物語を、現実の世界と幻想的な世界を、視覚的にも対比させながら描く。主人公はナキメという盲目になっていくキャラクターで、ナキメのダークサイドバージョンのビジュアルもお目見え。吉平監督は「日本の古代神話や“すべての物に魂が宿る”という日本に古くから浸透している精神を『スター・ウォーズ』のジェダイの姿を通して描こうと思いました。いろんなアートワークをひとつの物語の中に詰め込んだ作品を作りたくて、フォースをビジュアライズするということにも挑戦したのでそこにも注目してほしいです」と見どころをアピールする。
「九人目のジェダイ」の長編シリーズ化に会場が熱狂
デイヴィッドプロダクションからは「BLACK」の共同プロデューサーを務めるジェイコブ・エアーズが登壇した。ストームトルーパーが主人公となる同作。ジェイコブはその理由について「もともとモブキャラクターとして登場したストームトルーパーですが、それぞれの人生が気になったこと、そしてフォースを持たない人たちに焦点を当てて映像化することに挑戦したいと思いました」と思いを述べる。大平晋也監督からは映像でコメントが到着し、「人には皆それぞれ人生や価値観、思いがありますが、トルーパー自身にもきっとそういうものがあるだろうと考えました」と思いを巡らせた。

ここで神山監督がゲストとして登場し、「Star Wars Visions Presents -The Ninth Jedi」がサプライズ発表される。神山監督は 「色の変わるライトセイバーを発明したお父さんを探しに行くカーラのストーリーを描くシリーズになりますが、一体どういう理由でそういったライトセイバーを作ったのか、そういった秘密が語られていくストーリーになるんじゃないかなと思っています」とコメント。思わぬ発表に、会場に集まったファンが大熱狂する中、ステージイベントは幕を下ろした。
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提供元:コミックナタリー