アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の放送50周年を記念した展示イベント「宇宙戦艦ヤマト 全記録展」が、本日3月15日に東京・西武渋谷で開幕。前日の3月14日にはプレス向け内覧会と、企画・プロデュースを担当した



会場7階の展示エリアは5つのゾーンに区分けされており、「宇宙戦艦ヤマト」の最初期段階の資料が集められた「誕生」コーナーからスタートする。TV放送に向けたイメージボードやデザイン画の数々のほか、約19分のパイロットフィルム映像も映し出された。続く「発進」では「宇宙戦艦ヤマト」第1話から5話までの資料を展示。決定稿やシナリオ、絵コンテなどの現物が展示された。第6話から15話までを追う「試練」には「宇宙戦艦ヤマト」の模型や放送当時に出版されたマンガが登場。第16話から22話までを辿る「激闘」には、波動エンジンや非常警報などの効果音を聞くことができる体験コーナーも設置されている。第23話から最終26話までの旅路を追う「回天」では当時の台本もショーケースに飾られた。

会場2階には1/100スケールの模型を設置。周囲の壁面には1974年の初代から現在劇場で公開されているリメイクシリーズを時系列で辿る年表が掲出された。また歴代のプラモデルや書籍、リメイクシリーズの魅力を解説したパネルなども見ることができる。

取材会の前にはテープカットが行われ、庵野、森雪役を務めた

その後行われた取材会で、「宇宙戦艦ヤマト」のどういったところが庵野の人生を変えたのかと質問される。庵野は「当時じゃ考えられないくらい描き込まれた宇宙船が動くカッコよさ、子供向けの作品とは違うハードな人間ドラマ、何もかもが新しく感じた作品でした」と回答。「これまで『テレビまんが』と呼ばれていたものを『アニメーション』という呼び方に変えてしまった作品です」と語った。

特に来場者に見てもらいたい部分を問われると、庵野は「全部です。これまで雑誌等でも発表されていなかったものが大半で、スタッフのご遺族の方から協力していただいたりしました。僕も見たことがなかったものもありました」と話す。また展示構成について「可能な限り原版の展示にはこだわっています。ただ会場の広さを考えると展示できる点数が絞られるので、スキャンしたものを取り入れることにしました。それでも雑誌やムックよりはるかに精度が高いものです」とアピール。そして、まだ「宇宙戦艦ヤマト」を知らない人へ「半世紀前の作品なので古く感じるのは仕方がないと思いますが、今うち(スタジオカラー)で作ってる『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』をきっかけにファーストガンダムに流れてくれている若いファンの方も大勢いると聞いています。『ガンダム』が大丈夫だったら『ヤマト』も大丈夫だと思う。絵が古いと感じる人は『宇宙戦艦ヤマト2199』などのリメイクシリーズにもその魅力が詰まっていますので、そちらを観ていただければいいのかな」とメッセージを贈った。
今回展示品の協力を行った氷川氏は、「宇宙戦艦ヤマト」放送当時に制作スタジオを見学し、捨てられそうになっていた原画の保存に努めていた。「スタジオに何度かお邪魔するうちに設定資料の緻密さに驚きまして。当時アニメは制作会社ではなくプロジェクト制で作られ、作品を作り終えたら解散してしまっていた。(原画などの資料が)散逸してしまうことに危機感を持ちました」と語る。また展示の見どころとして「背景画の色彩が素晴らしい」と述べ、「生の原板は細かい筆致に魂がこもっている感じがします」と語った。「宇宙戦艦ヤマト 全記録展」は3月31日まで。
「庵野秀明 企画・プロデュース/放送50周年記念『宇宙戦艦ヤマト 全記録展』」
会期:2025年3月15日(土)~31日(月)10:00~20:00
会場:東京都 西武渋谷店 A館 7階、2階 特設会場
※3月19日(水)は19:00(最終入場18:30)まで営業。
スタッフ
企画・プロデュース:庵野秀明
主催:株式会社東北新社
著作総監修:西崎彰司
企画:カラー、アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)、乃村工藝社
制作:乃村工藝社、東北新社
協賛:バンダイナムコフィルムワークス
※西崎彰司の崎はたつさきが正式表記。
(c)東北新社/著作総監修 西﨑彰司
提供元:コミックナタリー