3月31日に放送がスタートするNHKの連続テレビ小説「あんぱん」の会見が本日3月10日に東京・渋谷の同局で行われ、主人公・朝田のぶ役の今田美桜と、のぶの夫・柳井嵩役の北村匠海（DISH//）が登壇した。

「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したやなせたかしと小松暢（こまつのぶ）の夫婦をモデルに、2人があらゆる荒波を乗り越え「アンパンマン」にたどりつくまでを描く“愛と勇気の物語”。会見の前には第1週の試写が行われ、今田と北村は試写直後の会場にそろって姿を見せた。

子役の永瀬ゆずなと木村優来が幼少期ののぶと嵩をそれぞれ演じる“物語の始まり”を見届け、北村は「自分も8歳から子役として活動していたのですが、なんでこんなに説得力をもってのぶや嵩を走り出させてくれたんだろうって」と、子役2人の演技を絶賛。嵩を演じた木村には「どこを見ているかわからない目線だったり、ネガティブともポジティブともとれない曖昧な表情をやってくれていて、嵩がこれから大人になってくうえでのすごく大事なルーツを表現してくれていたのですごいなと思いました」と、同じ役柄を引き継ぐ身としての賛辞を重ねた。

柳井嵩という役柄について、彼は「実在する方を演じるのは明石家さんまさん以来なんですが、本当に緊張するんですね」とひと言。役作りに関して「実際に近くにいた人が感じていた空気、（夫妻が）2人で作り出していたであろう空気をまとわなきゃいけない。なので、やなせさんの自伝だったり、あとはインタビュー動画での受け答えはずっと見ていました。どこかお調子者なところを感じつつ、やなせさんが“逆転しない正義”を描く、その達観に至るまでの経緯みたいなものはずっと調べていました」と語る。北村と同様、今田も役作りをするうえで「アンパンマン」を見返したといい「やなせさんが描かれている作品は、暢さんがいたからこそだったんだろうなというのは本当に感じます」と実感を報道陣に伝えた。

話題が中園ミホの脚本に及ぶと「脚本にはやなせさんの実際の言葉がちりばめられていて、まるで中園さんとやなせさんの合作本のよう」と話した北村。「中園さんが描く物語の中で自分たちの心がここまで揺れ動く。僕らも続きが楽しみですし、すごいスピードで書いてくださるからこそ僕らは目の前の演技に集中できる。この作品への愛に感謝しています」と思いを語った。

また、試写会ではRADWIMPSが担当する主題歌「賜物」が流れるオープニング映像も公開となった。このオープニングに関して「どんなコンセプトで撮影された？」という質問を投げかけられた今田が返答に悩んでいると、北村はすかさず「僕の解釈でしゃべりましょうか？」と今田をフォロー。「現代的な表現が入ってきたなと思いました。そこにはのぶでもなく今田美桜でもない存在が写っているようで、これはなんだろうな？と思って……」と切り出す。“街”の姿が時代とともに移り変わっていく中に「令和を生きる今田美桜という俳優の存在を感じた」という北村は、さらに「賜物」について言及。「すいません、僕はRADWIMPS信者なので愛が深くなってしまうんですけど、1曲通して聴くと変拍子になったりピアノだけになったり、はたまた激しいところもあったりする。それが、人生ってあったかいだけじゃ終わらないし、さまざまな心の機微があることを表現しているように感じて。そういうところをコンセプトとしております！」と熱っぽく続ける。彼が語った解釈に、制作統括の倉崎憲氏は「その通りです！」と断言していた。

そんな北村の姿に、今田は「今もそうでしたけど、日々本当に助けていただいて……」と感謝しきりの様子。2人の共演は今回で6度目だといい、北村は映画「東京リベンジャーズ」での2人の役柄の関係性を引き合いに「これまではたくさん救ってきたんですけど、今回はどちらかと言うと嵩がのぶに救われる局面が多い」と説明し「そんな中で、何ひとつ手を抜かない（今田の）姿を見ているので。座長としての姿を見ても、現場の空気を作り上げているのは今田さんだなあと思います」と評する。昨年9月にクランクインして約半年、現在は「戦争パートを撮っていて、現場が男だけなんです」と明かした彼は「スタッフの皆さんが今田さんを求めている空気を、僕はひしひしと感じながら。のぶがいてこその『あんぱん』の空気なんだなと実感してます。まるで別現場みたいなんですよ」と笑いながら今田の存在の必要性を説いていた。

提供元：音楽ナタリー