日本の通信事業者、アイ・ピー・エス(IPS、東京都中央区)と同社のフィリピン子会社であるInfiniVAN(インフィニバン)および情報通信技術省(DICT)は18日、マカティ市のホテルで、政府の通信ネットワーク構築事業に関する基本合意書を締結した。IPSとインフィニバンが運営する国内外の回線を活用して地方のへき地を含めた比国内における住民への通信接続サービスの増強に向けたソリューション構築を目指す。
基本合意書の署名式典にはヘンリー・アグダ情報通信技術相とIPSの宮下幸治社長、インフィニバンの中原茂樹社長らが参加して署名した。
アグダ大臣は署名式で「本事業は国内および海外との通信接続が両方強化され、DICTが進める全国における無料Wi―Fiサービスを支援し、政府ネットワークのレジリエンスと冗長性の強化に向けた通信インフラ構築への協力を促進させるものだ」と期待を示している。
宮下社長はまにら新聞のインタビューに対し「本事業のインパクトは来年に事業が完了した後、フィリピンにおいて体感できると期待している」と述べ、早ければ来年3月までに同事業を完成させる目標を掲げていることを明らかにした。
アグダ氏によると、今回の合意に基づく新規ネットワークはDICTの2023~28年度全国サイバーセキュリティー計画に基づいて構築される予定で、サイバーセキュリティーとレジリエンスに重きを置いた事業計画になる見込み。
IPSグルーブは2015年にフィリピンでインフィニバンを設立して通信事業ライセンスを取得。2020と21年にはフィリピン~香港・シンガポール間を結ぶ国際海底ケーブル「C2C回線」の使用権を確保した。これでフィリピンにおける3番目の国際データ通信キャリアの地位を築いている。23年には国内海底ケーブル網「PDSCN」を完成させて比で全国規模でのサービス提供を開始したほか、25年7月には日本・フィリピン・シンガ ポールを結ぶ新規国際海底ケーブル建設事業への参画も決定している。(ロビーナ・アシド、澤田公伸)