不動産調査・コンサル会社のロビエン・リアルティ・グループのシェイラ・ロビエン最高経営責任者はこのほど、首都圏における事務所ビルの賃貸事務所空き室率が今年4~6月期に20%となっており、コロナ禍前の2019年に記録していた4%に比べて5倍に拡大していることを明らかにした。
同社の報告書によると、首都圏の賃貸事務所空き室率が上昇しているのは、新しい事務所ビルの開設に加えて、マルコス政権が昨年に操業を禁止したオンラインカジノ事業者による撤退が相次いだことや、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)事業者によるリモートワーク導入が進んでいることなどが背景にあるとしている。
同社によると、2020年から24年までの5年間で新たに追加された賃貸事務所スペースは年間約50万平方メートルで、19年に記録されていた180万平方メートルからは3分の1以下に減少している。
また、首都圏の4~6月期の平均事務所賃貸レートは1平方メートル当たり950ペソとなっており、前年同期の990ペソから約4%下落している。事務所ビル開発業者も新規事務所スペースの供給量を制限している。
さらに、首都圏ではシェアオフィスを拠点事務所やサテライト事務所として利用する企業が増えており、これまでに200カ所を超えるシェアオフィスが開設されている。
一方、首都圏以外の地方都市における賃貸事務所の空き室率も今年4~6月期に30%と高止まりしているという。(澤田公伸)