フィリピン統計庁(PSA)は8日、2月の労働力調査結果を発表した。それによると、2月の失業率は3・8%で、前月比0・5ポイント改善した一方、前年同月比だと0・3ポイントの微増となった。政府目標の4・8~5・1%を下回る良好な水準を維持した。より長い就労を望みながらそれより短い時間しか就労できない不完全就業者の割合(不完全就業率)は10・1%となり、過去10カ月で最も低い水準となった。
15歳以上人口に占める労働力(就業者と失業者の合計)を示す労働参加率は64・5%で、前月比0・6ポイント増、前年同月比で0・3ポイント減。一方、就業者数(推計)は4915万5000人で、前月比66万8000人増、前年同月比で20万4000人増となった。
レクト財務相は声明で、「フィリピンの労働市場が堅調なことは、貿易戦争から比経済を守る上でよい兆しだ」と指摘。「フルタイム雇用や中・高技能職に就く就業者の増加が不完全就業率の低下をもたらし、労働力の3分の2が賃金・給与所得者となっている。これは、中間層の拡大を示している」とし「労働力の成長は所得増、購買力強化をもたらす。貿易戦争が勃発している不確実な時代では、強靭(きょうじん)な国内市場こそ最大の防衛策だ」とした。
一方、国家経済開発庁(NEDA)のバリサカン長官は、2月の失業率が前年同月と比べて微増した理由について「就職を希望する若年者が増加したため」と説明。「それでもマレーシア(3・1%)やベトナム(2・2%)などの東南アジア諸国と同程度であり、中国(5・4%)やインド(6・4%)より低い」とした。
質の高い雇用の創出の方策について同長官は、「エネルギー、輸送、デジタル接続に関する旗艦インフラ事業は国内雇用と経済活動を改善する」と指摘。さらに、変化していく労働市場への対応として、民間企業での訓練を含めた生涯学習・訓練政策を促進するとした。(竹下友章)