フィリピン中央銀行は17日、第4四半期(10〜12月)の企業景況感指数(CI)が39・7と前期のマイナス5・6から一気にプラス40近くまで改善し、昨年第1四半期にコロナ禍が始まって以来、最良の景況感に転じたと発表した。
中銀は四半期ごとに企業観測調査を実施しており、直近や近い将来の景況感、現在の稼働率、財務状況、雇用情勢への見通しなどを聞き取っている。
企業景況感指数は、調査対象期間の景気について、景況感が改善したと回答した企業の割合から、悪化したと回答した企業の割合を差し引いた数値。
10〜12月期の景況感指数をセクター別にみた場合でも、建設やサービス、小売り部門で前期のマイナスの指数から10〜12月期にはプラスに転じた。製造業は前期でもプラスだったがさらに景況感が上昇した。
景況感が改善した理由について中銀は①コロナ防疫措置や水際措置の緩和②需要と売上の増加③ワクチン接種拡大と集団免疫への見通し④クリスマス休暇による需要増など季節的要因⑤コロナ感染者数の減少や直近の経済成長率の拡大などポジティブな経済ニュースの影響──を挙げている。
また、来期(2022年1〜3月期)の景況感指数では52・8となり、前期の回答だった31・9から20ポイント改善した。さらに、今後1年間の景況感指数も67・6で、前期の56から11ポイント増加した。
一方、対ドル・ペソ安基調が今後も続くとの見通しが多かったほか、今年と来年のインフレ率についても政府目標の2〜4%の上限を超えるとの予測が大勢を占めた。
今回の企業観測調査は10月8日〜11月18日にかけて総資産でトップ7千社に入る全国の企業から抽出された1511社を対象に調査した。首都圏の企業584社に対し、首都圏以外の企業が927社を占める。首都圏の企業からの回答率が49・7%と半数を切ったのに対し、地方の企業の回答率は64・1%だった。(澤田公伸)