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10月18日のまにら新聞から

PAL保護策の代償

[ 620字|1999.10.18|社会 (society)|新聞論調 ]

台湾との航空協定破棄  

 台湾との航空協定破棄は、いかなる代償を払ってでもフィリピン航空(PAL)を守ろうとしている政府の姿勢を浮き彫りにした。エストラダ大統領は廃業騒動の際、労働組合との交渉、外資導入によるPAL救済などに重要な役割を果たしてきたが、今回ほど露骨な保護政策はとらなかった。

 「香港や韓国の航空会社は運賃を引き下げ過ぎ」「PALは赤字を出し続けている。ナショナルフラッグキャリアーを救うため、国の保護は不可避」……。その露骨さは大統領自身や政府高官の言葉から容易に読み取ることができる。

 大統領は再三、国の名誉を背負った「ナショナルフラッグキャリアー」という言葉を口にするが、PALがキャリアーであり続けなければならない理由はどこにもない。ましてや、一私企業存続のために政府が骨を折る必要はまったくない。

 多くの専門家が指摘しているように、PALの経営危機は、高い運賃や劣悪なサービスに起因している。乗客がより安く、サービスの良い航空会社を選ぶのは至極当然なことで、経営危機の原因を他国の航空会社に押しつけるのは責任転嫁に他ならない。

 政府がこのままPALへの肩入れを続ければ、外国人観光客の減少による観光産業への打撃は避けられない。また、海外の就労先へ行く際にPAL利用を半ば強制されるフィリピン人も、その高い運賃に泣かされることだろう。大きな代償の陰で笑うのは、PALとその会長、ルシオ・タン氏だけだ。(13日・インクワイアラー社説)

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