政府は謙虚な取り組みを
二〇〇〇年問題対策
二〇〇〇年の元旦にコンピューターが「一九〇〇年一月一日」と日付を読み間違え、プログラムなどが誤作動するとされる二〇〇〇年問題で、経済週刊誌「エコノミスト」はこのほど、米国のコンサルタント会社の調査を基に、フィリピンは「準備不足のため、問題が発生する可能性の高い国」と位置づけた。調査は、三十四カ国を対象に行われたが、フィリピンは中国、インドネシア、インドよりも「事故発生率」が高いとみられている。
大統領府二〇〇〇年問題対策委員会の調べでは、今年八月までに金融機関は九五%、電気、水道など公共事業、製造はそれぞれ八〇%、通信、交通七九%、政府機関七七%、医療七〇%の割合で対応済みとしている。
九月末までに対応の終了が義務付けられているが、同委員会ではこれも達成可能としている。政府は、「エコノミスト」誌の記事に対し①調査は昨年十一月に実施されている②フィリピンはコンピューターへの依存率が低い——などとして、「問題発生の可能性」を否定している。
確かに、フィリピンは「ハイテクな国」とは言えず、二〇〇〇年問題での被害は少ないかもしれない。しかし、重要部門である金融業、航空会社、電力会社ではコンピューターへの依存率は高い。関税局など政府機関でも同様だ。同委員会は、対応達成率を自慢げに発表するだけでなく、「エコノミスト」誌の指摘を検討するなど、残り三カ月余りの間、謙虚に問題解決に取り組んでいくべきだ。(1日・スター社説)