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6月2日のまにら新聞から

新聞論調 象徴的な存在価値 ミスコン優勝者

[ 701字|2024.6.2|社会 (society)|新聞論調 ]

 フィリピン人の母とアフリカ系米人の父の間に生まれたチェルシー・マナロさんがミスユニバース・フィリピン2024の栄冠に輝いた。比を代表する初の黒人系候補者だ。多様性がテーマとして浮上する昨今、保守派に加え、独身の生物学的な女性以外にも門戸が開かれてもなお、その多様性は形だけで、政治的配慮だと考える進歩派らからは批判の声が上がった。しかし本質的な問題は、人々の心の中に根付いている偏見、人種差別、性差別の膿なのだ。

 マナロさんは質疑応答で語った。「黒人系というだけで、私は人生で困難に直面してきた。実際、美しさには基準があると言われてきたが、母の言うことに耳を傾け、いつも自分を信じ、自分の中にある価値観を持ち続けてきた」。彼女自身がそこに存在するという事実がすでに他人を力づけているのだ。

 彼女の存在価値は、メキシコで優勝することではなく、国を代表し競い合う中で、いかにして私たち国民に深く埋め込まれている人種差別を止められるかという象徴的な意味を持っている。

 私はかつて、女性を客観視し特定の種類の美を打ち出すミスコンを批判していた。しかし今や、むしろ支配的な言説に切り込むための大衆文化のプラットフォームとして捉えるようになった。プラスサイズや有色人種、性的少数者などのアイデンティティを形骸化させるプロデューサーの意図があることは認めるが、美の祭典を避けて通れないのであれば、逆にその場を利用し、その意図を逆転させることはできるはずだ。

 マナロさんが私たち比人の代表として優勝したことは、そうした貴重な瞬間のひとつである。(5月30日・マニラタイムズ、アントニオ・コントレラス)

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