新聞論調 歴史的辞書に日本語を追加 オックスフォード英語辞典
英語に関して最も権威ある辞書「オックスフォード英語辞典」には50万以上の項目があり、およそ1000年にわたる英語の歴史が記録されている...
英語に関して最も権威ある辞書「オックスフォード英語辞典」には50万以上の項目があり、およそ1000年にわたる英語の歴史が記録されている。英語の現代的な使用法に限らず、時にそれ以前の使用法も記録されているため、英語の歴史的辞書といえる。
2024年3月の改訂で、私はこの権威ある辞書に日本語由来の新語を追加する手伝いをする機会を得た。現在准教授を務める東京外国語大の創立150周年記念事業の一環として、遠野幸雄教授とともに「どんぶり、火鉢、伊勢海老、かごめ、からあげ、カツ、カツカレー、金継ぎ、切り紙、漫画家、お好み焼き、おもてなし、おにぎり、三徳、しぼり、たこ焼き、特撮、とんかつ、とんかつソース、和紙テープ、焼肉、豚骨、とんこつ」の23語を追加した。
見ての通り、そのいくつかは料理名だ。例えば「カツ」は「ブーメラン」「借り物」と呼ばれる言葉のひとつとして興味深い。カツの語源は「カツレツ」で日本人が外来語として取り入れ、その後英語は日本語化された「カツ」を再び取り入れた。
もうひとつ興味深い単語として「とんこつ」を挙げたい。現在、一般的には豚骨で作られたラーメンスープの一種として認識されているが、もっと古い用法として、着物の中にいれる煙草(たばこ)の入れ物や袋という意味の「とんこつ」が掲載された。日本人でも「とんこつ」がラーメン以外のものを指すと知ると驚くだろう。オックスフォード英語辞典への追加で、私の大好きな日本食の歴史にも貢献できることを光栄に思う。(3月31日・マニラタイムズ、アリアン・ボルロンガン、比の英語研究第一人者、東京外国語大大学院総合国際学研究院・准教授)