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5月21日のまにら新聞から

新聞論調 有害な繋がりを断ち切れ クウェートとの関係見直しを

[ 1037字|2023.5.21|社会 (society)|新聞論調 ]

クウェートが比人に対する入国ビザ発給を急に停止したが、比は今こそ同国との関係を見直すべきだ

 国家関係には育むに値しないものが存在する。比クウェート間がその一つかもしれない。クウェート政府は先週、事前の通知や説明無しに比人に対して入国ビザ発給を停止した。入国する観光客や学生、ビジネスマンや新規海外比人就労者(OFW)に適用される一方、すでに居住ビザや身分証を持つ比人は対象外。

 在クウェート比大使館が通知を受けたのは地元メディアが報じた1日後で、同国内務省が「比が二国間労働協定に違反した」とするも、詳しい理由や期間、解除に対する取るべき行動などはまだ公表されていない。

 比外務省は大使館がOFW向け駆け込み寺であるシェルターを設置したことや虐待の連絡を受けた派遣会社が同国雇用主に連絡を取るよう命じたことが違反の要因だの見方を示している。

 エドゥアルド・デベガ外務次官は「クウェートで労働違反とされる一方、この2つ取り組みが海外の自国民を保護する政府の義務であり、また同国の法律に反するものとは協定で明確に定義されていない」とした。

 デベガ次官は「比政府が出したOFW派遣停止を再考するよう促す何らかの圧力」と述べた。

 今年1月に比人家政婦が雇用主の息子から性的暴行を受け殺害され、遺体を燃やされ遺棄された残忍な事件が発生し、それに伴い比政府が2月に家事労働者の派遣を停止した。2018年や20年にもOFWが虐待を受け殺害された事件が起きている。

 外務省と移民労働者省は「労働外交」を用いて協議する意向だが、「比が簡単にOFW派遣停止を解除することはない」とするデベガ次官の主張は正しい。

 もちろん、在クウェートOFWおよそ30万人(うち7割が家政婦として就労)による定期的な送金が支える比経済には幾分影響を与える。しかし、虐待の脅威に晒される自国民の安全こそが最も肝要だ。

 海外労働者福祉局によると、16年以降、OFW196人が同国で死亡、うち8割が身体的虐待が死因という。17年単年だけでも、大使館に寄せられた虐待やセクハラ、強姦の事例は6000件に上り、約400人が現在もシェルターに滞在している。

 入国ビザ停止という形で罰する同国の対応は国際労働条約だけでなく、特に家政婦など弱い立場にある人たちの基本的人権を低く評価していること示す。

 今こそクウェートとの関係を真剣に見直し、世界でも高評価であるOFWの受け入れ先として、より友好的で法律や権利を尊重する他国に目を向けるべき時だ。(19日・インクワイアラー)

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