外交と国内問題とのバランスを マルコス大統領の外遊記録
大統領にとって投資誘致と国内課題の優先順位づけ・バランスが重要
海外渡航8回、富裕層が集まる国際スポーツイベントへ参加1回。これはマルコス大統領の就任後7カ月間の外遊記録である。この数値は前例にないほど少なく、新型コロナウイルス流行の影響が残る国の長としては妥当だろう。
大統領は6月30日の就任以来、インドネシアに始まり、シンガポール、米国、カンボジア、タイ、ベルギー、中国、スイスを訪問し、公式訪問や国際会議へ出席してきた。ダボス会議へは7人の比人億万長者や民間企業の代表も同行し、比を魅力的な投資先としてアピールした。高進するインフレをはじめとする国内の課題があるにもかかわらず、海外を歴訪した大統領を時間と資源の浪費だと批判するのは簡単だ。
大統領府によると、これまで500億ドルの投資約束や二国間経済協定を取り付けた。これが中長期的に実現し、比人の雇用創出に繋がるのであれば悪くない。
しかし、国民1億1千万人を率いる大統領にとって優先順位のバランスが極めて重要だ。例えば、国内の大きな課題であるコロナ感染とインフレに焦点を当てる。これらの課題解決には常駐する閣僚がいればより効果的に対処できるはずだ。しかし大統領は明確な理由なく保健相を任命せず、また自身も農務相を兼任し続けている。感染状況は減少傾向にあるが、砂糖やタマネギ、卵など記録的な物価高騰に苦しむ消費者への影響は依然として大きく残る。
なので大統領、ぜひ旅を続けてください。比が有益な投資先であることを宣伝し、海外で働く比人の利益と福祉に気を配ってください。でも、国内の問題にも目を向け、国民が直面する課題の対処も忘れないでほしい。(25日・インクワイアラ―)