「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
33度-25度
両替レート
1万円=P3,780
$100=P5880

11月20日のまにら新聞から

父親が推定可能なら 寡婦再婚禁止期間の例外

[ 663字|2022.11.20|社会 (society)|新聞論調 ]

比刑法では夫に先立たれた女性に対し、301日間再婚禁止とするが、それには例外がある

 比には正式な離婚制度がない。では再婚制度もないかというと、実はある。それは、配偶者に先立たれた場合だ。ただし、女性の場合は配偶者に先立たれた後、301日間の再婚禁止期間が刑法で設けられている。

 改正刑法第351条によると、夫の死亡日から301日を経ずに再婚した場合、1カ月1日~6カ月の拘禁刑および500ペソ未満の罰金が科される。この法律の目的は、これから生まれる可能性のある子どもの父親に関する混乱を避けるためだ。

 その目的のための法律なので、夫の死亡時点で妊娠していた女性は、出産後であれば夫の死後301日を待たずとも再婚可能だ。これは条文に明記されている。しかし、条文に明記されない例外もある。

 メリサは2010年3月13日、アンディと結婚した。結婚して5年経っても子宝に恵まれなかった2人は、医師に相談。そこでアンディは男性不妊症と診断された。メリサには2年後さらに不幸が訪れる。2017年6月にアンディに先立たれてしまうのだ。

 まだ若かったメリサは夫の死後にラモンと恋に落ちる。子を持つことへの強い願望があったメリサは、アンディの死後90日を待ってラモンと結婚した。しかしその後、夫の死後301日を経ない結婚を行った罪でメリサは当局に起訴される。彼女は有罪だろうか。

 答えはノーだ。刑法第351条はあくまで将来生まれるかもしれない子どもの父親に関する混乱を避けるための規定だ。メリサの亡き夫は男性不妊症であると証明されているから、同条項の適用外となるのだ。(18日・スター、ホセ・シソン弁護士)

新聞論調