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9月18日のまにら新聞から

約束は破られる 大統領の初外遊

[ 634字|2022.9.18|政治 (politics)|新聞論調 ]

マルコス大統領は先週、インドネシアとシンガポールへの初の公式外遊で「143億6000万ドルの投資の約束を取り結んだ」と胸を張り、こうした誓約の具体化は「新型コロナパンデミック(世界的大流行)の影響からの経済回復に大きな助けとなるだろう」と強調している

 マルコス大統領は先週、インドネシアとシンガポールへの初の公式外遊で「143億6000万ドルの投資の約束を取り結んだ」と胸を張り、こうした誓約の具体化は「新型コロナパンデミック(世界的大流行)の影響からの経済回復に大きな助けとなるだろう」と強調している。この 「約束」という言葉は、もちろん 「約束」に過ぎない。このようなニュースは、わが国の指導者とその取り巻き連中が「公式訪問」や単なる遊説で外国に行くたびに、当然のように報道されるものである。

 ドゥテルテ前大統領期、外遊から大統領が帰国した際には何十億もの「約束」(ほとんどが中国からのもの)を自慢することを忘れなかった。しかし、問題は、ドゥテルテ氏が幻想的な利益と引き換えに地政学的な譲歩を前面に押し出すという、「誓約の罠」と呼ぶにふさわしいものに陥ったことだ。ドゥテルテのような打算的な政治家なら、普通、どんな取引でも交換条件があると主張するだろう。ほとんどすべての識者は、この国が騙されたことに同意している。

 一般に、国家元首や外国の要人に対する「礼儀作法」として見られる「約束」は、国際法上、法的拘束力を全く持たない。その虚しい価値は、約束を締結した者のプロパガンダの具である。真実も事実も、約束は履行されるときより破られる方が尊ばれるのである。比国民は、約束した国や企業が口先だけでなく、金を出すのを見たときだけ、「約束」を信じるべきだ。時間が経てばわかることだ。(15日、インクワイアラー)

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