「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
30度-24度
両替レート
1万円=P3,820
$100=P5885

9月4日のまにら新聞から

まだまだできることがある インターネット詐欺

[ 938字|2022.9.4|社会 (society)|新聞論調 ]

ネット詐欺がまた流行している。これは政府関係機関や通信会社が真正面から取り組まない限り、繰り返される問題だ

 ネット詐欺がまた流行している。これは政府関係機関や通信会社が真正面から取り組まない限り、繰り返される問題だ。新型コロナウイルスの大流行がもたらした経済不況は、偽の求人情報を持ちかけ、失業者の弱みに付け込むのに好都合な環境になっている。詐欺のメッセージの中には銀行口座のトラブルに関する警告という形で、被害者がリンクをクリックすると、詐欺師が個人情報にアクセスできるように誘導するものもある。

 しかし、政府が実施した対策といえば、詐欺に対する警告や携帯電話加入者に注意を促すことだけ。一方で通信事業者は詐欺の疑いのある何百万ものテキストをブロックしたと報告している。残念ながら、こうした動きは、詐欺行為に対する抑止力にはなっていない。詐欺師は常に進化しているためだ。すでにスパムメールの受信者の名前を入手するまでになっている。

 一体、詐欺師達はどこでその名前を手に入れたのか。おそらくデータの流出があったのだろう。これは携帯電話加入者のプライバシーが侵害されている可能性があるため、非常に憂慮すべき事態だ。

 最高裁判所のマービック・レオネン判事もこの状況に警鐘を鳴らす。「私たちの携帯電話に届く未承諾メールや詐欺メールにはすでに私たちの名前が含まれている。これは私たちの情報を流出させたり、売ったり、不注意なデータ提供者がいることを意味する。これではわたしたち全員が危険にさらされている」と8月30日、ツイッターに投稿した。1日時点で3千以上のリツイートと9千以上の「いいね」を獲得している。

この憂慮すべき状況において、国家プライバシー委員会や国家通信委員会、他関係機関はまだすべきことがあるはずだ。彼らは問題の深いところまで突き詰めるべきなのだ。警告や詐欺メッセージのブロックは正しいステップであるが、悪意のある行為を止めるもしくは規制するのに十分ではない。詐欺師やデータ流出の背後にいる人物の正体を明らかにし、彼らが法の及ぶ限り訴追されるのを見届ける必要がある。これは言うのは簡単だが、政府と通信事業者は国民の利益を守るため、実行しなければならない。詐欺師やデータ流出の背後にいるものを罰せられない限り、詐欺が減ることはないだろう。(2日・ブレティン)

新聞論調