窮地に立たされた私立学校 政府は公立学校の質改善を
新型コロナ禍の最初の年、入学者数の減少や運営費の高騰で、国内で900近い私立学校が閉鎖を余儀なくされた
新型コロナ禍の最初の年、入学者数の減少や運営費の高騰で、国内で900近い私立学校が閉鎖を余儀なくされた。防疫措置によってオンラインやモジュールを活用した教育へのシフトを強いられ、生徒、教師、学校経営者いずれにとっても教育コストを圧迫した。
一般的に公立校と比べて私立学校は設備が整っており、教育の質も高いと考えられているため、保護者は子どもを私立校に入れたがるが、相応の対価が必要となる。主要な私立学校の授業料は大多数のフィリピン人家庭にとって手の届かないものである。
コロナ禍での「経済台風」で生徒100万人以上が基礎教育から脱落する結果を及ぼした。携帯機器やインターネット接続は、生活の糧を失った親には負担が困難なものだった。私立学校では高額な授業料や雑費に加え、こうした費用もかさむ。その結果、授業料が無料である公立学校への生徒の大量移動が起きた。
ケソン市のコレヒオ・デ・サンロレンソが15日、今学期から運営を停止することを発表し、生徒や保護者、教師もが突然の知らせに唖然とした。同校は12日まで入学を許可し、授業料や書籍代、制服代も徴収していたのにである。教育省およびケソン市は行き場をなくした生徒や教師、その他の学校関係者の支援に乗り出している。
経営難に陥った私立学校の存続を後押しするため、国ができることは限られているかもしれない。ただ、政府は国民が私立教育に期待する質の高い教育を公立学校の生徒たちに提供するため、一歩を踏み出すことは大切だ。無料であることが標準以下の質の根拠になってはならない。(17日・スター)