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7月31日のまにら新聞から

腐敗と怠惰の温床 最貧世帯現金給付事業

[ 657字|2022.7.31|社会 (society)|新聞論調 ]

私の弟アーウィン・トゥルフォ社会福祉開発相が進める、貧困世帯現金給付事業(4P)の不正受給者探しが議論を呼んでいる

 私の弟アーウィン・トゥルフォ社会福祉開発相が進める、貧困世帯現金給付事業(4P)の不正受給者探しが議論を呼んでいる。弟は自分でこの問題に取り組める。ただ、私がかつて持っていた番組「トゥルフォに通報」で、私が「不正受給告発者に報奨金を支払った」と言った記者の誤解を解きたい。

 そもそも、報奨金を払うほど予算があるのなら、番組を終わらせる必要はなかった。実際、最後の数カ月は友人やドゥテルテ前大統領に資金援助を求めながら辛うじて続けていた。前大統領が資金援助してくれた理由は権力を乱用する政府職員を見つけ出すためだ。

 4Pは最貧世帯を助ける事業だが、実際は数百万の世帯が不正受給している。社会福祉開発省の職員は、自分の親類が利益を得ている限り、政府がだまされていようが気にしない。もちろん、予算のいくらかは彼らのポケットの中だろう。4Pは同省腐敗の温床だ。

 バランガイ(最小行政区)に受給者の点検をさせる案もある。しかしバランガイ職員の身内びいきや、存在しない名前の報告が容易に想定でき、穴だらけの方法だろう。

 私が子どもの頃、勤勉な祖母は貧しい借地人に、彼ら自身のための野菜栽培を勧めた。しかし借地人は、自分たちのためにもかかわらず、祖母から賃金をもらうまで耕し始めなかった。こうした驚くべき怠惰は、働きもせず口を開けて食べ物を待つ「怠け男」の風刺画を思い起こさせる。4Pは貧困世帯に不労所得を与え、怠惰に拍車を掛ける。いっそ廃止してはどうか。(26日・スター、コラムニスト・ラモン・トゥルフォ)

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