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6月14日のまにら新聞から

安全でない家もある 家庭内暴力

[ 639字|2020.6.14|社会 (society)|新聞論調 ]

 新型コロナウイルスをめぐりフィリピンは世界で最も長い都市封鎖を行っている。これによって増えた最悪の出来事は、家庭内暴力だ。3月に防疫強化措置が始まって以来、3700件の家庭内暴力や子どもの虐待があったと報告されている。

 これは比だけの問題ではない。米ジョンズホプキンス公衆衛生校上級プログラマーのキャサリン・バリン氏は、予期されていなかった「アウトブレイク中のアウトブレイク」として、妊娠の増加などとともに家庭内暴力を挙げている。

 比では警察が7歳の男児の死を捜査している。容疑者は男児のおばで、男児の体には、拷問を受けたような多数の傷があった。別の未成年の少女は、継父にレイプされたと警察で証言した。

 こうした犯罪は、彼らが自宅に閉じ込められている期間に起きた。このためアンジェリーナ・タン下院議員は、防疫期間中の「健康と安全のための行動計画」を提案する法案を準備している。子どもを両親や保護者から守り、健康で安全な状態を保つ行動計画が必要になっているのだ。

 未成年者は、そういった被害に遭っても、警察官や見知らぬ人々に助けを求める手段も勇気も持っていない。

 子どもたちは家族と家の中に入れば、新型コロナウイルスからは安全だとされてきた。しかし、それがフィクションの場合もある。家の中にいる「怪物」を恐れながら、外に出られずにいる子どもたちもいる。「ホーム・スイート・ホーム」が幻想である場合も少なくないのだ。(10日、マニラブレティン、ジュリー・ダサ)

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