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3月27日のまにら新聞から

比の中国研究第一人者が死亡 新型コロナで中国に対する怒り

[ 787字|2020.3.27|社会 (society)|新聞論調 ]

 首都圏封鎖が発表された先週、新型コロナウイルスにより一人の偉大な人物を失った。中国研究の第一人者であったアイリーン・バビエラ比大教授がパリから帰国してまもなく新型肺炎で亡くなったのだ。我々にとってアイリーンは偉大な研究者というだけでなく、寛大なメンターで信頼できる友人、業績が豊富で有能な同僚だった。多くの栄誉を受けながらも、柔和な話しぶりで慎み深く、若い研究者にとって世代を超えた希望の星だった。

 40年にわたる中国研究を振り返ったエッセイで、彼女は若い研究者に対し、「自分の研究課題に感情を持ち込まないように。今日の比中関係を考慮に入れると困難かもしれないが、つねに客観性を維持するよう努力しなさい」と忠告している。我々はこの忠告を心に刻む必要があるが、同時に、ウイルスによる感染症が昨年発見された際にその危険性を警告した医師を弾圧し、組織ぐるみで隠ぺいしようした中国指導者層に対する抑えきれない怒りの感情を持つ者もいる。

 イタリアで1日800人近い死者が出たという最近の猛威を知るとさらに怒りは強くなる。イタリアで「これは戦争だ」という病院関係者の声が出る一方で、中国では新しい感染者がゼロだったとの報告も。自国で危機を脱した中国は今や、世界の感染国に対し医師団を派遣し、医療器材を送るなどして世界の救世主として振る舞おうとしている。また新型コロナに米国防省が関与しているとする陰謀説も唱えている。しかし、中国の一部報道では、昨年のウイルス感染発生時の証拠を隠滅するよう中国人科学者たちが命じられたことも報じられている。トランプ米大統領が「中国ウイルス」と人種差別的な用語を使って怒りをぶつけている。世界の国々も中国からのマスクや医療機器などの支援は歓迎しながらも、中国政府の責任も追及するであろう。

(24日・インクワイアラー、リチャード・ヘイダリアン)

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