基準は裸の生活か 統計に疑問の余地
フィリピン統計庁と国家経済開発庁(NEDA)は、3年ごとに実施している比の貧困率を発表した。2018年は16・6%で、23・3%だった15年から、世界でも例を見ない勢いで貧困が減っている。17%以下の達成は、政権が掲げる14%以下という22年の目標も、あながち不可能ではないと思わせる。
貧困の減少は、学歴相応の仕事に就けていない不完全雇用や失業者が減り、平均賃金が上昇した状態を表す。18年に5・3%だった失業率は、19年には5・1%になり、不完全雇用も1年で16・4%から14・0%に減った。130万人の雇用が新たに創り出されたと政府は説明し、平均収入も約23%増の年額15万6114ペソになった。
貧困率を下げることは、世界に対して自国のイメージを改善する役割を担うが、楽観的な面ばかりが強調されている今回の数値は現実を捉えているのだろうか。
失業者に関連する「無給の家庭労働従事者」が5・8%という数字には疑問がある。貧困世帯(1家族5人)の定義を月収1万727ペソ以下とする基準も、中心になって決めたNEDAのペルニア長官が昨年6月には「1家族が最低限の生活を送るのに4万2千ペソは必要」と矛盾する発言をしていた。
1万ペソは「裸の生活」には十分かもしれないが、「最低限」と呼べるものだろうか。収入が増えてクリスマス休暇を楽しめる人がいる一方で、この基準以下の生活を非常に多くの人が強いられている。(25日・マニラタイムズ)