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9月29日のまにら新聞から

宥和策で主権を損なうな 中国との危険なゲーム

[ 638字|2019.9.29|社会 (society)|新聞論調 ]

 著名な米国の歴史家アルフレッド・マッコイが言った通り、ドゥテルテ大統領は中国と危険なゲームをしている。フィリピンは中国への「宥和政策」で失うものの方が多い、と多くの政治専門家は警告してきた。

 比中の非対称的な貿易関係は変化していない。2019年7月の輸入額22億ドルに対し、輸出は8億6千万ドル。インフラ整備も、日本は比が受けた政府開発援助(ODA)総額の46%、82億ドル相当を提供。中国は90億ドル分を16年に約束したが、まだ3億6492万ドル分しか提供していない(3月現在)。 大統領は先月末の習近平・中国国家主席との会談で、両国が「互いに尊重し、両国に有益である、強く特別な関係」への一歩を踏み出す必要性を語った。だが、領海への侵入や比漁師への嫌がらせ、西フィリピン海(南シナ海)での攻撃的な行為の増加は、相互の尊重、友情に基づく行動とは考えられない。

 比は「新たな友好関係」のために中国により多くの譲歩と特権を与えている。領有権問題で中国は「紛争を棚上げし、協力と開発に集中すべきだ」として、資源共同開発で「より大きな一歩」を踏み出すよう比側に求めた。比は天然資源を最大限利用できる立場を失い、共同探査協定で中国がより大きな部分を得ることになるかもしれない。

 浅はかな外交政策のために、次世代の比人がその誇りと主権を失ってしまうべきではない。比の主権は、いかなる形の援助や投資とも引き換えてはならない。(27日・インクワイヤラー、ディンド・マンヒット)

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