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8月10日のまにら新聞から

交通機関利用者に尊厳を 公共交通マグナカルタ法案の提出

[ 819字|2019.8.10|社会 (society)|新聞論調 ]

 公共交通問題に取り組む市民団体と連携し、パギリナン上院議員が「尊厳のある公共交通利用に関するマグナカルタ」と呼ばれる法案を提出した。尊厳を持った公共交通移動が基本的人権の一部であることを謳(うた)った法案である。同法案では、交通機関利用者にとっての基本的な権利を例えば、以下のように定めている。(1)バス停での待ち時間が10分以内で、バス停が300メートルごとに設定されるなど、適切な交通サービスが受けられる権利(2)公共交通の運転手による安全な運転マナーを受ける権利(3)徒歩や自転車による通勤・通学用レーンが確保されるなど移動インフラを享受する権利(4)排気ガスなどで汚染されていない空気を吸う権利ーなどである。

 この市民団体によると、現在は私有車による交通が優遇されているという。しかし、法案は決して私有車を敵視するものではなく、国内のどの都市でも徒歩や自転車、公共交通機関での通学・通勤が自由にできるような選択肢を用意しなければならないと謳っているのだ。特に首都圏で交通機関を利用する者であれば、その交通移動でいかに普段から尊厳が奪われているかを実感しない人はいないだろう。生活費を稼ぎ、経営者と日々やり取りするためのエネルギーが通勤のためだけで、毎日どれほど奪われていることか。雨でも降れば、そのさらに何倍もの時間とエネルギーが失われていることか。

 交通機関利用者に良い待遇で交通移動できる権利があることに議論の余地はないだろう。その実現に向けた責任は、政府や都市計画立案者、その実行者の手にあるのだ。この法案自体、提出が遅すぎたと言えるだろう。しかし、たとえ今後、法案が議会を通過したとしても、公共交通サービスの改善に向けた努力が一時的なもので終わり、長続きしなければ意味がない。将来を見据えて確実な実行がなされない限り、首都圏での「尊厳ある交通移動」が現実から掛け離れた言葉になるだけだろう。(6日・スタンダード)

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