「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
29度-24度
両替レート
1万円=P3,700
$100=P5825

3月15日のまにら新聞から

人工的な水不足の解消を マニラウォーターの断水問題

[ 803字|2019.3.15|社会 (society)|新聞論調 ]

 私の家の蛇口から水が出なくなった。マニラウォーター(MW)社の給水が先週水曜日から断続的に止まっているのだ。同社はホームページで「給水調整」を行う場所のリストを載せてはいるが、断水の確定スケジュールを発表していなかった。そのため私を含む多くの家庭で水をバケツ1杯分もためておくことができなかった。

 エルニーニョの影響があるのは確かだが、この現象は今に始まったわけではない。前回のエルニーニョによる干害は2015年2月から翌年7月にかけて続いた。その時でも私の家の蛇口から水が出なくなったことはなかった。MW社やマイニラッド社が取水するアンガットダムの水位はまだ危険水位より余裕がある。この人工的な水不足で打撃を受けているのは家庭だけではない。レストランやミネラル水販売所、コインランドリー、建設現場なども影響を受けており、休業に追い込まれているところもある。経済への影響も懸念される。

 MW社によると雨季到来まで水不足が続く可能性があるという。なぜ、あと3カ月もこの困難に直面せざるを得ないのか。首都圏水道局のベラスコ局長が直前、マニラ首都圏やその近郊州で水不足になることはないと広言していた。しかも同局は最近、この乾季に両社の利用者らに対し水道料金を引き下げると派手に宣言した。水も出ないのに水道料金を引き下げても何の役にも立たない。

 実はMW社は昨年8月、ラグナ湖水の利用を開始できなければ2021年までに配水地域で水不足に陥ると警告していた。同局は政府主導のカリワダム建設を優先するため、この湖水利用事業に消極的だ。一部には今回の断水は水道料金を基に戻すために水道会社が人工的に作り出したものとの見方も出ている。ベラスコ局長は水問題を一刻も早く解決すべきだ。安定した水供給が実現しないかぎり大統領が公約したように国民の快適な生活は実現しない。(12日・マニラ・タイムズ、ドド・ドゥライ)

新聞論調