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2月24日のまにら新聞から

決定的な名称がない 比改名議論

[ 611字|2019.2.24|社会 (society)|新聞論調 ]

 フィリピンという国名の変更が議論になるのは、スペイン王フェリペ2世を思い出させる名称をやめ、植民地時代から抜け出すためだ。

 マルコス大統領は「マハルリカ」という名前を提案、高潔さという意味があると主張した。この考えはスペイン人の誤訳に基づき、米国の歴史家ブレアとロバートソンが書いた著書「フィリピン島1493〜1898年」により強められたものだ。マハルリカは実際、支配階層に対する従属者を意味する。

 ネイサン・キンポ筑波大教授は著書の中で、「マハルリカ以降改名は何度も唱えられたが、提案名は採用されず『フィリピン』が生き残った」と書く。フィリピンは比の英雄リサールやボニファシオらの自由を求めて建国を行った象徴になっているとも。

 フィリピンという名前には、汚名はないと言う人もいる。コラムニスト、リカルド・マライは1996年に「イタリア人の探検家アメリゴ・ベスプッチから名前が取られた米国ほどではない」と書いた。

 改名の支持が得られないのは決定的な名称が提案されていないからだ。

 マハルリカ以外についてキンポ教授は「1986年に憲法委員会に提出されたのは英雄の名前である『リサール』、タガログ語で英雄を意味する『バヤニ』、3地方をまとめた『ルスビミンダ』があった」と書く。

 国民が自分自身について流動的である限り、土着の言葉を思い付き、合意に達することは考えにくいだろう。(21日・スタンダード)

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