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2月22日のまにら新聞から

食糧保障の観点から政策立案を コメ輸入に向かう政策転換

[ 777字|2019.2.22|社会 (society)|新聞論調 ]

 かつて物価高で苦しむ消費者に対し「子どものように泣くのはやめよ」と有名なセリフを吐いたジョクノ予算管理長官が最近、農業政策について「農民は米作をやめ換金作物に変えよ」と提案した。国内総生産における農業の成長率が1%にも満たないというデータを基に、予算管理長官は農民が換金作物に転作すれば経済成長への農業の貢献度が3〜4ポイント上昇すると言うのだ。

 しかし彼は、フィリピン人の主食がコメであることや長期的な主食の供給を外国の親切心に頼ることの愚かしさに触れていない。確かにインドやタイ、ベトナムなどのコメ輸出大国から輸入した方がコメは安く入手できるかもしれない。しかし、彼らも国内の端境期や米価が不安定になった場合にコメの輸出を減らす可能性もあるのだ。ピニョル農務長官がこの問題を適切に解説している。彼は「ベトナムやタイなどコメ輸出大国がコメをいつまでも今日のレベルで輸出できるとは限らない。彼らも増加する人口を養わなければならない。輸入米に頼りわが農家に転作を薦めるのは死の罠に落ち込むようなものだ」と警告した。

 ドゥテルテ大統領の経済政策10カ条でも農業生産の促進を含めている。比政府は農家に転作を進めるのではなく、適切な財政支援や自然災害からの保護、流通システムへのアクセスを確保することで農家の競争力を高めることが重要なのだ。国際稲研究所などによると、2010年時点で比の米作地が453万ヘクタールだったのに対し、インドでは4400万ヘクタール、インドネシアで1231万ヘクタール、タイで1025万ヘクタール、ベトナムで741万ヘクタールとなっている。比では耕作可能地が一部の金持ちによって換金作物用の農園として囲い込まれているのが問題だと大統領も指摘している。食糧保障の観点からコメ自給に向けた努力が必要なのだ。(19日・スタンダード)

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