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1月11日のまにら新聞から

神への信仰心を基盤とする国を ブラックナザレ巡行

[ 810字|2019.1.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 明日、カトリックの信者たちによる最大の年中行事であるブラックナザレ像の巡行が行われ、多数の裸足の信者たちがナザレ像に少しでも近づこうと殺到する様子を目撃することになる。なぜこの日にナザレ像に触れようと熱狂した信者が危険や困難に立ち向かう行為が繰り広げられるのだろう。このナザレ像自体は普段、キアポ教会に安置されており誰でも簡単に触れることができるのに。

 イエスが、自分の足を高価な香水で洗った罪深い女性に対し「お前の罪は許された。信仰心によって救われたのだ」と声をかけた聖書の一節にその答えがあるかもしれない。また、フィリピン語で「神のお慈悲ゆえに」という言葉があるように、イエスのまねをすることで神から慈悲を得ようとする比人独特の解釈と関係しているかもしれない。しかし、多くの人々、特に外国人はこの信者による共同体的エクスタシーを見て驚くのだ。この敬虔(けいそん)な信者たちがどうやって犯罪や汚職、その他の社会悪にまみれた国家と折り合いをつけているのかと。

 社会学者のランディー・ダビッド氏は「自分自身に問いかける必要がある。なぜそこまでの信仰心を汚職文化と、無私の模範であるイエスを強欲な人生と混同させ、福音的価値を嫌悪や抑圧、自己中心主義と共存させることができるのか」と書いている。

 5年前のブラックナザレ祭直前に開催されたミサでは、タグレ枢機卿がミサを行った際、信者たちは説教直後の聖体拝領の儀式には見向きもせず、ナザレ像に近づくためフェンスをよじ登って殺到した。この様子を見たある神父は「ミサや聖体拝領に代表されるサクラメント(秘跡)が最も大切なものなのに」と嘆いた。

 自分や家族、親しい友人のためのブラックナザレへの帰依と信仰心から脱却し、この国のための信仰心を持とうではないか。神への強力な信仰心を基盤とするフィリピンが出現することを祈っている。(8日・インクワイアラー、ジョーイ・リナ)

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