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12月14日のまにら新聞から

人権のために立ち上がれ 世界人権宣言70周年

[ 771字|2018.12.14|社会 (society)|新聞論調 ]

 12月10日は国際人権デーだったが今や世界の多くの地域で人権が守られていない。世界の500を超える言語に翻訳されている世界人権宣言が国連総会で採択され今年で70周年を迎えたというのにだ。フィリピンもその例外ではない。私たちは人権にとり危険な段階を迎えている。大統領自らが暗殺部隊を組織すると豪語し、トリリャネス上院議員らのような野党政治家を攻撃するために法律をゆがめ、マリア・レッサ氏やラップラーのようなジャーナリストやメディア組織を弾圧し、軍や警察に威嚇されている先住民や農民を支援する弁護士が殺され、ミンダナオ地方で先住民の教育を受ける権利を制限している時代なのだ。

 筆者はこの文章をポーランドのクラクフで書いている。この町は第2次世界大戦下でユダヤ人の大虐殺という人権虐殺が行われたアウシュビッツに近い。しかし、同時に、ユダヤ人の救命に立ち上がったシンドラーの工場があった町だ。ヨハネ・パウロ2世の生誕地でもある。フィリピンや世界中のどこにもきっとシンドラーのような人間がいる。来年の中間選挙でも上院選にはチェル・ジョクノやネリ・コルメナレス、エリン・タニャダ氏ら人権擁護の先頭に立つ候補者たちもいる。彼らを当選させることもできよう。

 ドゥテルテ大統領が進める麻薬撲滅戦争は警察の取り締まりで5千人近くが殺され、よく分からない状況で1万6千人も殺されている。しかし、麻薬患者たちを更生させるのを優先すべきだ。彼らも生きる権利と法律に基づく裁判手続きを受ける権利がある。私たちはもう人権侵害を見過ごしてはいけない。麻薬戦争の被害者や遺族を支援し、大統領に超法規殺人を止めるよう要求し、社会経済的な観点から包括的な麻薬対策を実施し、人権がこれ以上奪われないよう、一緒に闘おうではないか。(11日・スタンダード、トニー・ラビーニャ)

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