恣意的でなく規定整備を 恩赦取り消し
ドゥテルテ大統領は大統領布告で、トリリャネス上院議員の恩赦を取り消した。これに対して批判派は、いったん認められた恩赦は最終的なもので、取り消すことはできないと主張している。
トリリャネス議員は2003年7月、アロヨ政権下でクーデター未遂事件に加わり、海軍大尉だった06年には海兵隊本部、07年にはマカティ市のペニンシュラホテルに立てこもる事件も起こしている。
これらの行為に対しては、アキノ前政権下で恩赦が出された。
しかし、今回の大統領布告では、トリリャネス議員は恩赦の条件を満たしておらず、罪も認めていないことを取り消しの理由とした。
大統領布告が出されたタイミングは、同議員が上院委員会で、司法省のカリダ法務局長をめぐり、その一族が経営するビジネスへの利益誘導問題を審理していたさなかだった。
当然ながら、同議員は猛反発している。同議員はクーデータ未遂事件でかつて投獄されていたが、獄中でも政治活動をやめなかった人物だ。
大統領府は布告を正当とし、議員の再考申し立てにも意を介さない姿勢を示しているが、恩赦取り消しはこれが初めてのケースだ。取り消しが恣意(しい)的に行われないように規定が整備されるべきだ。法令が順守されているか厳重に監視する必要もある。
恩赦取り消し布告は一議員の問題にとどまらず、かつて反乱に加わった国軍兵士との和解にも影響する。恩赦を撤回するにあたり、政府はさまざまな先例を考慮すべきだ。(5日、スター)