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6月3日のまにら新聞から

問われる汚職撲滅の真価 法務局長の会社所有

[ 635字|2018.6.3|社会 (society)|新聞論調 ]

 ドゥテルテ大統領が掲げる「汚職撲滅戦争」が、いかさまの見せ物にすぎないことは明らかだ。カリダ法務局長の一族経営の警備会社が司法省などと数百万ペソに上る契約を結んでいることが発覚したためだ。

 大統領は、頻繁に海外出張したという単純な理由で、省庁の次官や次官補らを解雇してきたが、警備会社の経営権の大部分を所有しているだけで、カリダ局長を解雇する理由にはならないと擁護している。

 行政法は法務局を、フィリピン政府の法体制を統率する「最高責任者」と定めている。局長の警備会社と政府の間で利害が衝突した場合、局長が政府における法の責任者としての役目を真に果たせるとは思えない。

 明らかに局長は会社と政府の利害関係に関わっており、「政府職員としての職務に影響のある会社や契約に、直接または間接に利益を有すること」を公務員に禁じた汚職取締法に抵触している。

 大統領が局長を解雇すべきもう一つの理由は、セレノ前最高裁長官の資産・負債・純資産報告(SALN)に不備があり、長官としての高潔さや誠実さが欠けているとして辞任に追い込んだことだ。この論理によると、政府職員の職務に影響のある会社に利権を有するカリダ局長こそ、高潔さが欠けており辞職するべきだ。

 局長が会社の権利を手放しても十分ではない。「汚職の影」が彼につきまとうだろう。大統領も、そうした影がある職員は差別せずに解雇すべきだ。汚職戦争への信頼を勝ち取る方法はそれしかない。(1日・スター、ホセ・シソン)

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