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3月4日のまにら新聞から

司法制度の改善を続けよ 最高裁長官弾劾

[ 657字|2018.3.4|社会 (society)|新聞論調 ]

 2月27日の夕方、下院司法委員会はセレノ最高裁長官の弾劾の可否をめぐり長時間の審議を開いていた。女性として初めての最高裁長官に史上最年少で就任した彼女は、最高裁の同僚からの圧力を受けて無期休暇に入っていた。

 セレノ長官は弾劾に直面する3番目の最高裁長官だ。ダビデ元長官は上院での裁判まで発展しなかったが、コロナ前長官は弾劾により罷免となった。今回の弾劾手続きに関与している国会議員の動きは、過程の大部分が政治的であり、権力者は単に自らの長官を選びたがっていることを示している。この国がどうしようもなく必要としているはずの司法制度の改善などは差し置いてだ。

 最高裁における最新の危機としては、下院がセレノ長官を裁判のために上院に送るという、弾劾が申し立てられた点をはるかに超えていることがある。彼女の弾劾裁判が始まることは、下院の審議の1日目から分かっていることだが、彼女がコロナ前長官と同様の道を進むのかは不確実だ。

 最高裁長官の交代が司法制度の変化につながるかどうかはさらに不確実である。この国は、遅くて信頼できないという悪名高い司法制度を持っているだけでなく、2種類の正義を持っていることで有名になりつつある。一つは貧困層向けの正義、もう一つは金銭や影響力を持つ富裕層や権力者が享受する正義だ。

 司法が弱いことが反乱や貧困の悪化、投資家の撤退や民主制の崩壊につながった。国会議員はセレノ長官を交代させるための努力の中で、これらの弱点に対処する必要性を見失ってはならない。(2月28日・スター)

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