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1月7日のまにら新聞から

自警団の再定義を 誤認殺害事件

[ 628字|2018.1.7|社会 (society)|新聞論調 ]

 首都圏マンダルーヨン市の追走劇と銃撃で白いバン型乗用車に乗った市民2人が死亡した後、デラロサ国家警察長官は全てのバランガイ(最小行政区)自警団員の武装解除を命令した。銃撃に加わった警官が、自警団員に犯人は白いバンの中だと言われたと証言したためだ。

 報道では、別の銃撃事件で負傷した女性を運んでいたバンに向けて最初に自警団員が発砲、後から駆けつけた警官らも加わり、バンが路肩に停車して中から人が出てきてもなお、雨のように銃弾を浴びせたという。

 自警団の非武装化の次にやらなければならないのは、その役割の再考だ。自警団は地域の治安に平和的に貢献する存在だと考えられてきたが、昨年からは自警団員やバランガイ職員自身が違法薬物取引に関与して逮捕、あるいは殺害されることが増えた。法に定められた役割に反し、家庭内暴力に遭っている女性を助けることもしない。

 今回の事件でも、自警団員は法を破って銃器を携帯、使用し人命を奪った。これまでには、違法賭博や不法占拠などに警備として力を貸した場合もあった。また、個人商店や駐車場など一般的な市民の活動に関して勝手に料金を徴収することや、さらには組織犯罪を行う政治家の私兵を買って出ることまである。

 今回のマンダルーヨン市の事件では、警官隊の行動が最大の批判の的となっているが、バランガイの組織改革につながっていくべきだ。最小行政区のために働くことは、法を破ることの免罪符にはならないのだから。(2日・スター)

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