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5月28日のまにら新聞から

携帯電話の取り締まりを 脇見運転防止法の施行

[ 734字|2017.5.28|社会 (society)|新聞論調 ]

 共和国法第10913号、つまり「脇見運転防止法」が5月18日に発効となった。しかし、首都圏開発局のオルボス局長代理は、その法律の解釈を巡って国内で議論が高まったため、同法の施行を一時中止した。ここで問題だったのは、取り締まる側の人間たち、つまり、運輸省や陸運局、国家警察や首都圏開発局らの職員たちが同法に対する違反行為にあたる、運転中の携帯電話の使用だけでなく、2014年に発令された同省令第1号で定められている、車のダッシュボード上に置かれた縫いぐるみや置物、飾りなどもあらためて取り締まりの対象としようとしたことだった。

 同省令は置物だけでなく、カトリック教の信仰を示す十字架の首飾りなども対象としていた。この措置に対しては、予想された通り、カトリック司教協議会のメヒア議長が抗議の声を上げ、その声に信仰の自由を侵害されたと考えた運転手たちも加わったのだ。そもそもこれらの置物や信仰の首飾りなどに対する規制法は2014年に発令されていたが、一度も実施されなかった。おそらく、そんな置物や首飾りが運転の邪魔になるなどと考えられなかったからだろう。

 今日普及している携帯電話こそ運転手の注意をそぎ、脇見運転を引き起こす元凶だろう。通話や携帯文字メールの着信があると、運転手たちはそれに対してしばらく注意をそがれる。運転手が文字メールの返事を出そうとすればなおさらである。

 それに対してバックミラーなどに掛けてある十字架の首飾りは運転の邪魔にならないばかりか、運転手の気持ちを落ち着かせる効果があるのだ。脇見運転防止法の施行規則はそのまま発令されていることから、今後はぜひ、携帯電話の使用のみに絞った取り締まりを実施してほしいものだ。(27日・ブレティン)

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