目指せASEANトップ 比経済の行方
アジア開発銀行(ADB、本部・首都圏マンダルーヨン市)の第50回年次総会がこのほど、横浜市で開かれた。総会ではフィリピンの経済成長は地域で最も活発という評価がなされた。比への高評価は素晴らしいのだが、現在、本当にアジア地域に誇れる経済成長を保持しているだろうか。
半世紀の間に比の近隣諸国は急速な経済成長を遂げた。第2次世界大戦後から現在までの成長でいうと、比は日本について2番目の経済成長を遂げたともいわれる。しかし1960年代、ADBが比の首都圏に置かれたころから、香港やシンガポール、台湾などの近隣諸国は比を尻目に「先進国」へと急成長。韓国は事実上、北朝鮮と朝鮮戦争が続いている状態というのに、地域有数の経済大国へと変化を遂げた。
東南アジア諸国連合(ASEAN)発足時の原加盟国であるタイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、比の5カ国の中で、個人所得などで見ると比が最下位だ。比の経済成長は数字の上では目立ったものであっても、他国のように貧困層を含めた包括的な経済成長であるかといえばそうではない。
ADBは先進国に対し、発展途上国のインフラ、教育、保健分野への投資を呼び掛けている。同分野は、比が包括的な経済成長につなげるために必ず強化しなくてはならない分野だ。
これからの50年は比がASEANのトップを目指し、戦略的な経済政策と汚職のない政治で「真の経済成長」を遂げる時である。(8日・スター)