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9月25日のまにら新聞から

自立に必要なもの 自主外交路線

[ 739字|2016.9.25|社会 (society)|新聞論調 ]

 国際連合では、地域や人口、軍事力にかかわらず、それぞれの国家が平等な立場を有している。ドゥテルテ大統領が自主外交路線を表明し、フィリピンが主権国家として他国と対等に扱われることを望むというのは、つまり国連の平等主義を強調しているに過ぎない。

 現政権の残忍な違法薬物撲滅政策に対する国連や米国などの対応が、他国による内政干渉だとして、ドゥテルテ大統領の怒りに火を付けた。そのいら立ちがもととなる発言だとしても、大統領の主張は筋が通っている。

 自主外交路線の追求は、外部からの防衛能力やその他さまざまな側面で、他国に頼らず自力で対応できる力を身に付けていく努力を伴わなければならない。とは言え、国民の40%が貧困ライン以下の暮らしを強いられ、汚職によって数十億ペソの公費が無駄に失われるような途上国にとって、それを実現するのは困難だ。

 国家の力を引き上げるのに必要な最も基本的な資源は、国民だ。

 国の競争力を高め、グローバル経済の要求に見合った力を身に付けるためには、人的資源への多大な投資が不可欠だ。つまり教育、公的保健サービス、科学研究、技術促進、創造性や革新性を育む事業などへの投資が必要ということだ。

 雇用や生計の機会を生み出し、起業がしやすい環境を整えなければならない。公平な競争の場を作り、官僚主義を一掃し、クリーンで効果的な規制枠組を定め、必要なインフラ整備をすることが国内のビジネス環境を良くし、包括的成長を促進するために必要だ。

 国家が成長するためには防衛や防災面の備えも必要だろう。国際社会の中で、全ての国は他国に頼っている部分がある。しかし、いくつかの国は自立している。自立している国は国際社会においても尊重される。(18日・スター)

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