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5月23日のまにら新聞から

支離滅裂なマルコス氏 副大統領選

[ 705字|2016.5.23|社会 (society)|新聞論調 ]

 副大統領選に立候補したボンボン・マルコス上院議員陣営の悩みを理解するのは簡単だ。マルコス一族の後継者は対立候補と僅差で落選することが濃厚だからだ。彼はまるでアニメの世界のような「創造的な主張」をしている。集計が不正に操作されたというのだ。しかし、その主張は支離滅裂で欠陥ばかりだ。

 マルコス氏の想像では、対立候補陣営が投票日以前から選挙不正を行っていたという。選挙戦最後の集会で同氏は、対立候補のロブレド下院議員を念頭に、「他の候補が選挙不正を行う恐れがある」と主張した。直前の支持率調査でロブレド議員に追いつかれていたからだろう。

 マルコス氏は一体何を根拠に不正を主張しているのか。同様の民間調査で自身がリードしていた結果も不正操作されていた可能性があるというのか。気にくわない結果が出たからといって、都合の良い陰謀論を持ち出すべきではない。

 彼は、マルコス独裁政権に対する批判も「副大統領就任を望む国民の声」を変化させることはできないと主張していた。副大統領選候補者による公開討論会でマルコス氏は、戒厳令下の悪行について痛烈に非難された。討論会終了後、マルコス氏は、批判の急先鋒(せんぽう)となったカエタノ上院議員に対して「その作戦は通用しない」と言い放ったという。実際はこの批判が数百万人の心に響き、投票に影響を与えた可能性が高い。

 マルコス陣営は、投票管理システムの独自調査実施を求めた。中央選管は信頼できないため自陣営が調査を行うという。特定の陣営が実施する調査に信用が置けるのか。真の意味で公正な調査を求めるなら、独立した第三者機関が実施すべきだろう。(20日・インクワイアラー)

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