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4月25日のまにら新聞から

全女性が被害者 ドゥテルテ氏発言

[ 695字|2016.4.25|社会 (society)|新聞論調 ]

 覆水盆に返らず。一度言った言葉は二度と戻ってこない。ダバオ市の刑務所で発生したオーストラリア人女性の人質事件をめぐるドゥテルテ同市長の発言は、「女性を軽蔑するつもりはなかった」と弁明したり謝罪をしても撤回することはできない。 

 人質被害女性のレイプを冗談として笑った発言は、全てのレイプ被害者やセクハラ被害者の尊厳を傷つけた。実際、発言の被害者は性的暴行の被害者だけでなく、全ての女性だ。なぜならレイプへの恐怖は全ての少女、女性が抱える問題だからだ。レイプへのトラウマや恐怖心を女性に抱かせるような発言をする男性が、どうして一国のリーダーになり得るのか。

 首都圏ケソン市内の大学で複数の女性団体が共催した抗議の記者会見では、レイプ被害者女性が、フィリピンの国としての性的暴行に対するモラルの低下を訴えた。記者会見の最後に登場した学生は「ドゥテルテ氏は私たちの大統領になる資格がない」と主張。そして彼女は幼少期に受けた性的暴行について告白し、同議員の発言は幼少期のトラウマを思い出させるもので「とても傷付けられ、恐怖心がなくならない」と話した。

 大統領選を含む統一選まで残り数週間となったが、現時点では大統領選も副大統領選も接戦が繰り広げられている。この選挙は次の6年間だけでなく、比の将来を決める大切な選挙となる。女性の権利は人権だ。来月の大統領選でも、ここ数十年で確立されてきたものを壊す候補者を選んではいけない。残された時間で、どの候補が女性の権利を含む人権を尊重する候補者かということを熟慮して投票所に向かわなければいけない。(リナ・ダビッド・20日・インクワイアラー)

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