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4月18日のまにら新聞から

独裁政権を求める矛盾 副大統領選

[ 731字|2016.4.18|社会 (society)|新聞論調 ]

 10日に行われた副大統領選候補者による公開討論会で、カエタノ上院議員は、忙しく立ち回りながら、それでいて抑制を効かせながら誰よりもマルコス上院議員を攻撃した。彼はマルコス、エスクデロ、ロブレド各候補を追走する状態から抜け出すため、弁舌の激しさを増す必要があると考えている。

 汚職を議論の中心に持ってきたカエタノ議員の戦略は称賛に値する。マルコス家による数十億ドルの不正蓄財について単刀直入に切り込むと、マルコス議員はしらじらしくも自身の不正行為にしらを切ってみせた。「持っていないものは渡せない」との言は、国家から盗んだ金を返還するよう求められた時のマルコス議員の言葉だ。会場からはブーイングが出た。

 司会も他候補もカエタノ議員の理路整然とした質疑に反対意見を述べることはなかった。しかし、同議員はその怒りを自身がペアを組む大統領候補者にも向けるべきではないか。

 ドゥテルテ・ダバオ市長は、故マルコス元大統領をフィリピン史上最高の大統領だと称賛し、遺体を英雄墓地に埋葬することに賛成している。カエタノ議員の対立候補に対する長い批判演説が、本当に心からのものだったとするなら、なぜ彼はマルコスを尊敬する人物とペアを組んでいるのだろうか。

 この矛盾は、ソーシャルメディアやさまざまな場所で熱心にエドサ革命以降の汚職や不正行為を批判する有権者にも共通する。彼らがやろうとしていることは、ねずみを追い出すためだけに家を燃やすような行為だ。彼らは、マルコス議員を支持率2位に押し上げ、ありもしない「黄金時代」を取り戻すため強い政治家による独裁政権を切望する。マルコス家に天罰が下されて以来、比人の精神は別の方向に堕落している。(11日・インクワイアラー)

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