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1月18日のまにら新聞から

置き去りにしない世界へ 難民恒久対策

[ 726字|2016.1.18|社会 (society)|新聞論調 ]

 2014年には世界で紛争と迫害によって毎日4万2500人もの人々が難民として、生まれ育った土地を追われた。この数字は2010年の難民合計数の4倍に当たる。現在、約6千万人の人々が難民となっており、第2次世界大戦以来の危機的状況にある。

 1945年、世界は平和構築の方法として国連を創設。創設から70年目の15年、国連は「誰も置き去りにしない」を基本理念に、新しい開発目標を掲げた。国連の呼び掛けに応じて国際社会は難民支援に応じたが、その多くは人命救助などの人道支援で、恒久対策は講じられていない。実際、14年に母国に帰ることができた難民は全体の1%ほどだ。大多数の難民は数週間や数カ月でなく、数年や数十年、または一生を避難先の土地で過ごすことになる。

 難民として土地を追われることは、治療や教育、就職などを通じて貧困から抜け出す様々な機会自体を失うことを意味する。女性は性暴力、子どもは児童労働などリスクや危険と隣り合わせで生きている。

 状況を解決するには政治的、経済的な変革が必要となってくる。難民受け入れ国や周辺国が恒久対策を講じなければ、難民は自立できず、永遠に人道支援を継続しなくてはならない。

 しかし、違う側面を見てみると、難民は高い潜在能力を持った人材である。国際社会は、彼らを母国での元々の職業である教師やエンジニア、芸術家など、豊かな経験を持った人々であることを認め、彼らが持つ技術や経験を生かし、自立した生活を構築することを支援すべきなのだ。より早い自立への支援が、貧困のサイクルから抜け出すことへの近道となる。そこで初めて国際社会は「誰も置き去りにしない世界」を構築できるのではないか。(14日・インクワイアラー)

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