対策に尽力を 比国内のテロ脅威
アジア太平洋経済協力会議(APEC)が19日、テロを非難する首脳宣言を採択して閉幕した。アキノ大統領は20日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席するため、マレーシアへ向かった。
マレーシアのサバ州サンダカンで5月、マレーシア人2人が拉致され、1人がミンダナオ地方スルー州でイスラム過激派、アブサヤフによって斬首され、遺体で見つかって3日後となる。マレーシア政府はフィリピン政府に連絡することなく、身代金1億ペソを支払ったが、人質は1人しか解放されず、さらに身代金を要求されていた。
比政府は、マレーシア政府がアブサヤフに屈服したことを非難するだろう。しかし、比政府も国内で悪事をはたらく無法者らの活動を撲滅できずにいる。アブサヤフは2014年、ドイツ人男女の身代金として2億5千万ペソを受け取ったとしている。比政府は支払いを否定したが、説得力はなかった。
国際的なシンクタンクの経済平和研究所が17日、テロが起きた回数などでランク付けした「世界テロ指数」を発表し、比は162カ国中で11位だった。14年の9位よりは改善されたが、東南アジア諸国では、タイに次いで2番目に悪い。インドネシアが33位、ミャンマーが41位と続く。遠くない昔に紛争を経験した東南アジア諸国も、比よりは良い順位にある。カンボジアは113位、ベトナムとシンガポールは同じ124位だった。
指数はアブサヤフのほか、フィリピン共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)やイスラム反政府勢力による殺人も勘定に入れている。マレーシア人が斬首された事実とテロ指数での順位を重く受け止め、比政府はテロ対策に力を入れるべきだ。(20日・スター)