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11月2日のまにら新聞から

歩行者への優しさ マニラの歩道

[ 699字|2015.11.2|社会 (society)|新聞論調 ]

 多く存在する移動方法の中で、最も健康的で、財布と環境にも優しいとされているのが「歩く」ことだ。もっともフィリピンでは、経済的な理由から車やオートバイを所有し、それらを運転して移動する人口よりも、歩行者の方が圧倒的多数派だ。

 そのような状況下で、昨今の比国内の都市、特に首都圏は、歩行者に優しくない街になっている。

 歩行者用の歩道は狭く、歩道がない道路も 多く存在する。歩道がある道路も、物売りが座り込んで道をふさぎ、街灯も少ない。

 さらに窃盗や性的暴行が横行し、「歩く」という移動手段は、避けるべき危険な行動になってしまっているのが現実だ。

 世界中で日常的に行われている「歩く」という移動手段が、なぜ首都圏ではここまで難しいことになっているのか。

 まず政府はインフラ整備を計画する際、歩行者の権利を守るためにも、アヤラ通り付近のビジネス街や、首都圏タギッグ市のボニファシオ・グローバルシティに見られるような、広く整備された歩道を確保すべきだ。

 現在の首都圏の道路は、歩行者より車優先の道路になっている。多くの大学や専門学校が立ち並ぶ首都圏マニラ市の学生街などでは特に、せめて近隣の首都圏鉄道(MRT)や軽量高架鉄道(LRT)の駅までは、学生が安全に歩ける歩道を整備すべきではないか。同市イントラムロス周辺には、海外から多くの観光客も訪れる。旅行者が安心して歩いて観光できる街づくりも観光振興に重要だ。

 歩行者が歩きやすい歩道は、車いす利用者などの身体障害者への優しい街づくりにもつながる。誰もが住みやすい街づくりへの重要な第一歩だ。(10月29日・インクワイアラー)

新聞論調