持続「不可能」な目標 国連総会開催の意味
今月末、150人以上の世界の指導者たちがニューヨークで集い、政治的に重要な会議を行う。国連総会だ。採択されるのは2030年までの世界の持続可能な発展を目指す新たな開発目標であり、「持続可能な開発目標(SDGs)」と呼ばれている。
しかし、30年まで2兆5千億ドル以上の、巨額予算のつかい道を決める重要な採択であるのに、世界の指導者たちが総会ですることは署名をし、カメラに向かって笑顔を見せることぐらいだ。これだけ多くの世界の指導者たちが一堂に会するなら、できることは他に山ほどあるはずなのに、貴重な機会を無駄にしている。
今回のSDGsは、15年を達成期限としていた国連ミレニアム開発目標(MDGs)に代わる新たな目標として定められた。SDGsは、貧困や環境などの17分野の目標と169項目の細かな達成基準から構成されている。
私が問題だと考えるのは達成基準項目の多さだ。169の達成基準を作成するデータの収集にかかる費用は、開発課題の支援の2年分に相当するという。貧困削減を目指す目標作りが、さらに世界を貧困に陥れているのは皮肉な事実だ。
今回、世界の指導者たちは項目一つ一つに目を通し、署名をし、カメラに笑顔を向ける代わりに、有意義な話し合いをした上で169項目を19ほどの具体的な項目に絞ったらどうなのか。
国連総会後、何が起こるのかが手にとるように予測できる。指導者たちがそれぞれの国へと帰路につく時、途方もなく多い169の達成基準に取り組むのは無理だと気づき、そのうちの数個に集中して政策を練るのである。私たちが願うのは、数個の政策にそれぞれの国家が真剣に取り組むことぐらいだ。(21日・インクワイアラー、ボホーン・ロンボルグ氏)