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8月24日のまにら新聞から

目を光らせろ バンコク爆弾テロ

[ 725字|2015.8.24|社会 (society)|新聞論調 ]

 状況は異なるかもしれないが、隣国タイの首都バンコクで17日に起きた爆弾テロは、過激派組織によるテロ攻撃に対して警戒を続ける必要性をフィリピン捜査当局にも気付かせてくれた。

 18日午後の段階で、外国人8人を含む少なくとも20人が爆弾テロで死亡した。現場はバンコク中心部にあるエラワン廟(びょう)前で、観光客がごった返す場所だった。その翌日には港に爆弾が仕掛けられたが、水中爆発したために負傷者は出なかった。

 犯行声明を出したグループはいない。タイの警察当局は、監視カメラの映像に写っていた、バックパックを置いて去った男の行方を追っている。報道によれば、犯行グループはタイ南部のイスラム過激派組織、あるいは軍事政権に反発した政敵とみられている。

 同様の爆弾テロ事件はマニラでも起きている。2000年12月30日、軽量高架鉄道(LRT)の列車やバス車内、マニラ空港など首都圏の5カ所で連続爆破テロが起き、民間人22人が死亡した。東南アジアのテロ組織、ジェマイスラミヤ(JI)、反政府武装勢力モロ・イスラム解放戦線(MILF)による犯行とみられた。  

 この3年後の04年2月27日、マニラ湾に浮かぶ大型客船「スーパーフェリー」の乗客116人が死亡するという、比国内史上最悪の爆弾テロも起きた。

 過去数十年の爆弾テロ事件が示すように、犯行グループはその時まで何年も用意周到に準備し、時期が来るのを待ち続けている。安全保障上の脅威に対策を実施する治安当局も、たとえ爆破テロが起きない時でも長期間にわたって目を光らせなければならない。

 敵は眠らない。脅威と対峙(たいじ)する治安当局は決してガードを緩めるべきではない。(19日・スター)

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